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第8話

入居中の困りごと ― 修繕・転貸・事故

この話の舞台

8〜10月

登場人物と「誰が何を決めるか」 → 舞台設定の全体 →

到達目標と条件

目標1修繕は誰の義務か、費用は誰が払うかを、条文と数字(給湯器交換165,000円)で言える。
条文内容ポイント
606条1項賃貸人の修繕義務賃借人の帰責事由があれば無し
607条の2賃借人の修繕権通知後不履行 or 急迫の事情
608条1項必要費直ちに請求可
622条・600条1項必要費の期間制限返還から1年以内
借地借家法33条造作買取請求権同意+期間満了/解約申入れ
くわしく(5項目)
  • 賃貸人は使用収益に必要な修繕をする義務を負う(民法606条1項)。賃借人の責めに帰すべき事由があれば負わない。
  • 賃借人は、通知後相当期間内に直らない時、または急迫の事情がある時は、自分で修繕できる(607条の2)。
  • 必要費は支出後、直ちに償還を請求できる(608条1項)。ただし返還から1年以内が期限(622条・600条1項)。
  • 造作買取請求権は、賃貸人の同意を得た造作について、期間満了・解約申入れによる終了時に限られる(借地借家法33条)。
  • 給湯器(ガス)の交換費用は165,000円(本体+工事費)。世界設定の数字。
目標2転貸にあたるかどうかの見分け方と、一部使えない時の賃料の扱いを言える。
状況扱い根拠
無断の転貸・譲渡解除事由になる612条2項
適法な転貸転借人が賃貸人に直接義務613条1項
一時的な同居転貸にあたらない実態(独立使用・対価)で判断
借家の譲渡不承諾裁判所の許可制度は無い借地借家法19条・20条は借地権専用
一部使用不能賃料は当然に減額611条1項
くわしく(6項目)
  • 賃借人は賃貸人の承諾を得なければ、賃借権の譲渡・転貸ができない(民法612条1項)。禁止特約が無くても同じ。
  • 無断で第三者に使用収益させると、賃貸人は契約を解除できる(612条2項)。
  • 適法な転貸なら、転借人は賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う(613条1項)。
  • 転貸かどうかは、独立して使用収益させ対価を得ているかで判断する。一時的に泊めるだけなら転貸ではない。
  • 借地借家法19条・20条の裁判所の許可制度は借地権専用で、建物賃貸借(借家)には無い。
  • 賃借物の一部が使用収益できなくなったとき、賃料はその割合に応じ当然に減額される(611条1項、請求は不要)。
目標3事故・共有・破産のとき、管理会社がどこまで責任を持つかを言える。
状況扱い根拠
工作物の瑕疵で事故占有者→(注意を尽くせば)所有者717条1項
竹木の瑕疵717条1項を準用、所有者に免責なし717条2項
共有の保存行為単独でできる252条5項
3年超の建物賃借権全員の同意が必要(変更行為)252条4項3号
賃借人の破産契約は当然には終了しない破産法53条・56条
くわしく(5項目)
  • 工作物に瑕疵があれば、占有者が先に責任を負う。占有者が注意を尽くしていれば所有者が負う(717条1項)。
  • 占有者にあたるかは名義でなく、安全確保についての事実上の支配という実質で判断される。管理業者も占有者たり得る。
  • 共有物の管理(過半数決)・保存行為(単独可)・変更行為(全員合意)の3区分がある(252条)。建物の賃借権は3年が上限。
  • 賃借人が破産しても、賃貸借契約は当然には終了しない。
  • 対抗要件(建物の引渡し)を備えた賃借人には、破産管財人の双務契約解除権(破産法53条)が及ばない(56条1項)。

覚える数字と条文

数字・条文内容
民法606条1項賃貸人の修繕義務。賃借人の責めに帰すべき事由があれば負わない。
民法607条の2賃借人の修繕権は「通知後、相当期間内に不履行」または「急迫の事情」の2つに限る。
民法608条1項・622条・600条1項必要費は直ちに請求できるが、返還から1年以内の期間制限がある。
借地借家法33条造作買取請求権は、賃貸人の同意を得た造作、かつ期間満了・解約申入れによる終了時に限る。
民法612条1項・2項転貸・譲渡には常に賃貸人の承諾が必要。無断なら解除事由。
民法613条1項適法な転貸の転借人は、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。
借地借家法19条・20条裁判所の承諾に代わる許可の制度は借地権(土地の賃借権)専用で、借家には無い。
民法611条1項一部使用不能の賃料は、請求を要さず当然に減額される(改正民法のポイント)。
民法611条2項残存部分で目的を達成できない時は、賃借人は契約を解除できる。
民法717条1項工作物責任は占有者が先、占有者が注意を尽くしていれば所有者(所有者に免責なし)。
民法717条2項竹木の瑕疵にも717条1項が準用される。
製造物責任法2条1項・3条不動産に付合しても、引渡し時点の欠陥があれば製造物責任の対象になり得る。
民法252条1項・5項共有物の管理は持分過半数、保存行為は単独でできる。
民法252条4項3号建物の賃借権等の設定は3年が上限。超えると変更行為で全員の同意が必要。
破産法53条1項破産管財人は双務契約を解除するか履行請求するか選べる(原則)。
破産法56条1項対抗要件を備えた賃借人には53条の解除権が及ばない(特則)。
給湯器(ガス)の交換費用 165,000円(world.md §7、本体+工事費)。

実務の流れ→ 横にスクロール

1
舞台
船橋・メゾン井上(木造2階建て8戸、築24年)。8〜10月、入居中のトラブルが連続する。
2
8-1 給湯器の故障
103号室・松本さんから連絡→設備業者が確認→165,000円で交換、井上さんの承諾。
3
8-2 必要費・造作買取
202号室・石井さんの相談から、必要費の1年の期限と造作買取請求権の要件を確認。
4
8-3 転貸の見極め
102号室・ラジさんの友人の出入りを、独立使用・対価負担の実態で確認し、転貸ではないと判断。
5
8-4 台風の被害
外階段の屋根破損で共用の物置が水浸しに。104号室・大野さんの賃料は当然に一部減額。
6
8-5 階段の事故
松本さんが外階段で転倒。工作物責任717条の占有者・所有者の順を確認、巡回記録の重要性を認識。
7
8-6 共有の大家
井上さんから「土地・建物は弟と共有」と告白される。保存行為と変更行為の境目(3年)を確認。
8
8-7 入居者の破産
101号室・山田さんの自己破産の申立てを保証会社から連絡。賃貸借は当然には終了しないと確認。
ひっかけ 15件
  • 「賃借人の子(責任能力なし)の行為=賃貸人の修繕義務」と決めつける誤り(606条1項ただし書の帰責事由は本人の責任能力とは別問題)。
  • 「連絡が取れない=賃貸人の帰国を待つしかない」という誤り(急迫の事情があれば賃借人が自分で修繕できる、607条の2第2号)。
  • 必要費は「いつでも請求できる」と思い込む誤り(返還から1年以内という期間制限がある、622条・600条1項)。
  • 有益費の金額・増価額の選択権を「借主」にあると誤解する誤り(選択権は貸主にある、196条2項)。
  • 「取り付けた造作なら何でも買い取ってもらえる」という誤り(賃貸人の同意が要件、借地借家法33条)。
  • 「転貸禁止の特約が無ければ自由に転貸できる」という誤り(特約の有無にかかわらず承諾は常に必要、612条1項)。
  • 「使用貸借で貸せば転貸に当たらない」という誤り(有償・無償を問わず612条の転貸に含まれる)。
  • 「借家でも裁判所に承諾に代わる許可を求められる」という誤り(19条・20条は借地権専用)。
  • 「一部使用不能の賃料は、請求しないと減額されない」という誤り(現行611条1項は当然に減額)。
  • 「所有者も注意を尽くせば免責される」という誤り(717条で免責されるのは占有者のみ、所有者は無過失責任)。
  • 「管理会社は所有者でないから事故の責任は一切無い」という誤り(事実上の支配があれば占有者として責任を負いうる)。
  • 「共有物は何でも全員の同意が必要」という誤り(保存行為は単独可、3年以内の賃借権設定は過半数で足りる)。
  • 「賃借人が破産したら契約は当然に終了する」という誤り(当然には終了せず、対抗要件があれば管財人の解除権も及ばない)。
  • 「差押え後に元の貸主へ払えば、通知だけで免れる」という誤り(差押債権者になお請求され得る、民法481条1項)。
  • 「時効期間が過ぎれば自動的に債権は消える」という誤り(援用の意思表示が必要、民法145条)。

到達目標(教科書)

目標1修繕は誰の義務か、費用は誰が払うかを、条文と数字(給湯器交換165,000円)で言える。

条文内容ポイント
606条1項賃貸人の修繕義務賃借人の帰責事由があれば無し
607条の2賃借人の修繕権通知後不履行 or 急迫の事情
608条1項必要費直ちに請求可
622条・600条1項必要費の期間制限返還から1年以内
借地借家法33条造作買取請求権同意+期間満了/解約申入れ
  • 賃貸人は使用収益に必要な修繕をする義務を負う(民法606条1項)。賃借人の責めに帰すべき事由があれば負わない。
  • 賃借人は、通知後相当期間内に直らない時、または急迫の事情がある時は、自分で修繕できる(607条の2)。
  • 必要費は支出後、直ちに償還を請求できる(608条1項)。ただし返還から1年以内が期限(622条・600条1項)。
  • 造作買取請求権は、賃貸人の同意を得た造作について、期間満了・解約申入れによる終了時に限られる(借地借家法33条)。
  • 給湯器(ガス)の交換費用は165,000円(本体+工事費)。世界設定の数字。

目標2転貸にあたるかどうかの見分け方と、一部使えない時の賃料の扱いを言える。

状況扱い根拠
無断の転貸・譲渡解除事由になる612条2項
適法な転貸転借人が賃貸人に直接義務613条1項
一時的な同居転貸にあたらない実態(独立使用・対価)で判断
借家の譲渡不承諾裁判所の許可制度は無い借地借家法19条・20条は借地権専用
一部使用不能賃料は当然に減額611条1項
  • 賃借人は賃貸人の承諾を得なければ、賃借権の譲渡・転貸ができない(民法612条1項)。禁止特約が無くても同じ。
  • 無断で第三者に使用収益させると、賃貸人は契約を解除できる(612条2項)。
  • 適法な転貸なら、転借人は賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う(613条1項)。
  • 転貸かどうかは、独立して使用収益させ対価を得ているかで判断する。一時的に泊めるだけなら転貸ではない。
  • 借地借家法19条・20条の裁判所の許可制度は借地権専用で、建物賃貸借(借家)には無い。
  • 賃借物の一部が使用収益できなくなったとき、賃料はその割合に応じ当然に減額される(611条1項、請求は不要)。

目標3事故・共有・破産のとき、管理会社がどこまで責任を持つかを言える。

状況扱い根拠
工作物の瑕疵で事故占有者→(注意を尽くせば)所有者717条1項
竹木の瑕疵717条1項を準用、所有者に免責なし717条2項
共有の保存行為単独でできる252条5項
3年超の建物賃借権全員の同意が必要(変更行為)252条4項3号
賃借人の破産契約は当然には終了しない破産法53条・56条
  • 工作物に瑕疵があれば、占有者が先に責任を負う。占有者が注意を尽くしていれば所有者が負う(717条1項)。
  • 占有者にあたるかは名義でなく、安全確保についての事実上の支配という実質で判断される。管理業者も占有者たり得る。
  • 共有物の管理(過半数決)・保存行為(単独可)・変更行為(全員合意)の3区分がある(252条)。建物の賃借権は3年が上限。
  • 賃借人が破産しても、賃貸借契約は当然には終了しない。
  • 対抗要件(建物の引渡し)を備えた賃借人には、破産管財人の双務契約解除権(破産法53条)が及ばない(56条1項)。

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自作 / Q30

あなたはツバサ。共有の井上さんが、ある部屋について5年間の定期建物賃貸借契約を結びたいと言っている。弟さんの同意は必要か。

正解: 2. 必要。3年を超えるため変更行為にあたる

  • ① × 誤り。建物の賃借権の設定には3年という上限がある。
  • ② ○ 正しい。民法252条4項3号により、建物の賃借権等は3年が上限。これを超える契約は変更行為にあたり、共有者全員の同意が必要。
  • ③ × 誤り。3年以内であれば過半数の管理行為として決定できる。
  • ④ × 誤り。5年は3年の上限を超えるため、過半数では足りない。
  • 条文: 民法252条4項3号「建物の賃借権等 三年」
  • 引っかけ: 「3年以内は過半数、3年超は全員合意」という区分を無視する型。
  • まとめ: 3年を超える建物賃借権の設定は変更行為にあたり、全員の同意が必要。
過去問 / 過去問 令和5年度 問22 / Q5

3人が共有している賃貸住宅について、全員の合意は必要ないが、共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することを要するものの組合せとして、正しいものはどれか。ア 賃貸住宅の窓ガラスが台風により破損した場合の、窓ガラスの交換 イ 賃貸住宅につき、契約期間を3年とする定期建物賃貸借契約の締結 ウ 賃貸住宅につき、契約期間を5年とする定期建物賃貸借契約の締結 エ 賃貸住宅の賃貸借契約に関し、賃借人の債務不履行を理由とする契約の解除

正解: 3. イ、エ

  • ① × 誤り。アは窓ガラスの交換で、民法252条5項の保存行為にあたり、共有者が単独でできる(過半数決は不要)。
  • ② × 誤り。ウは5年の契約で、252条4項3号の3年上限を超え「変更」にあたり全員の同意が必要。
  • ③ ○ 正しい。イは3年以内で252条4項3号の上限内、エの解除も管理行為として過半数で決定できる。
  • ④ × 誤り。ウは全員の同意が必要な変更行為にあたるため、過半数決の対象に含めるのは誤り。
  • 条文: 民法252条1項「共有物の管理に関する事項…は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する」
  • 条文: 民法252条4項3号「建物の賃借権等 三年」(過半数で決定できる賃借権等の設定期間の上限)
  • 条文: 民法252条5項「各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる」
  • 引っかけ: 保存行為(単独可)・管理行為(過半数)・変更行為(全員合意)の3区分の混同。
  • まとめ: 3年以内の建物賃借権の設定・解除は過半数、3年超は全員合意、単純な保存は単独でできる。
自作 / Q10

あなたはツバサ。8月、103号室の給湯器が故障し、松本さんから連絡が来た。この故障が松本さんの使い方に問題がなかった場合、まず誰が修繕義務を負うか。

正解: 3. 賃貸人の井上さん

  • ① × 誤り。管理会社は委託を受けて対応する立場であり、修繕義務そのものの名宛人は賃貸人である。
  • ② × 誤り。松本さんの使い方に問題がない以上、606条1項ただし書の「賃借人の責めに帰すべき事由」にはあたらない。
  • ③ ○ 正しい。民法606条1項により、賃貸人は使用収益に必要な修繕をする義務を負う。
  • ④ × 誤り。業者は修繕の実施者であって、契約上の修繕義務を負う当事者ではない。
  • 条文: 民法606条1項「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」
  • 引っかけ: 現場対応する管理会社・業者を、条文上の義務者と混同する型。
  • まとめ: 修繕義務の名宛人は賃貸人。管理会社・業者は実施の窓口にすぎない。
過去問 / 過去問 令和5年度 問23 / Q2

建物賃貸借契約における修繕及び費用償還請求権に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

正解: 2. 経年劣化により故障したトイレの修繕のための費用(必要費)を賃借人が支出しているにもかかわらず、賃貸人がその支払を拒む場合、賃借人は、賃貸借契約が終了しても、賃貸住宅全体の明渡しを拒むことができる。

  • ① × 誤り。連絡が取れない急迫の事情があれば、607条の2第2号で賃借人は帰国を待たず自分で修繕できる。
  • ② ○ 正しい。必要費償還請求権を被担保債権として、民法295条・296条の留置権により、建物全体の明渡しを拒める。
  • ③ × 誤り。622条が準用する600条1項で、必要費の請求は返還から1年以内が期限。1年半後なら拒める。
  • ④ × 誤り。造作買取請求権は形成権で、行使した時点で売買契約と同じ効果が生じ、改めて契約は不要。
  • 条文: 民法295条1項「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」
  • 条文: 民法622条・600条1項「契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない」
  • 条文: 借地借家法33条1項「建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した…造作がある場合には、建物の賃借人は…その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる」
  • ※ 借地借家法33条の買取請求権は、行使の意思表示だけで効果が生じる形成権と解されている(一次条文の明文ではなく判例・通説による整理)。
  • 引っかけ: 留置権が及ぶ範囲(建物全体)と、必要費請求の期間制限(1年)の混同。
  • まとめ: 必要費は留置権で明渡しを拒めるが、請求そのものには1年の期限がある。
自作 / Q13

あなたはツバサ。深夜、入居者の部屋で水漏れが発生し、連絡してもオーナーと連絡が取れない。この場合の法的な扱いはどれか。

正解: 1. 急迫の事情にあたり、賃借人は自分で応急の修繕ができる

  • ① ○ 正しい。民法607条の2第2号の「急迫の事情」にあたり、賃借人が自分で修繕できる。
  • ② × 誤り。急迫の事情がある場合、連絡が取れるまで待つ必要はない。
  • ③ × 誤り。費用負担の帰属は別途必要費の請求(608条)の問題であり、管理会社が独断で負担すべきものではない。
  • ④ × 誤り。水漏れの修繕自体は法的手続の問題ではなく、応急対応の問題。
  • 条文: 民法607条の2第2号「急迫の事情があるとき」
  • 引っかけ: 「連絡が取れない=何もできない」という思い込み。
  • まとめ: 急迫の事情があれば、連絡が取れなくても賃借人は自分で応急修繕ができる。
過去問 / 過去問 令和6年度 問23 / Q6

建物賃貸借契約と破産に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解: 1. 賃借人につき破産手続が開始すると、賃貸借契約は終了する。

  • ① × 誤り。選択肢では「賃借人の破産で賃貸借契約は終了する」とするが、賃借人が破産しても、賃貸借契約は当然には終了しない。
  • ② ○ 正しい。開始決定までの未払賃料は破産債権として扱われ、破産手続の中でしか弁済を受けられない。
  • ③ ○ 正しい。敷金返還請求権は賃貸借終了かつ目的物返還時に発生するため(民法622条の2)、破産手続開始だけでは行使できない。
  • ④ ○ 正しい。賃借人が対抗要件(引渡し)を備えている場合、破産法56条1項により、破産法53条の解除権は及ばない。
  • 条文: 破産法53条1項「双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし…相手方の債務の履行を請求することができる」
  • 条文: 破産法56条1項「第五十三条第一項及び第二項の規定は…破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない」
  • 引っかけ: 「破産手続開始=契約終了」という早合点(賃貸借は当然には終了しない)。
  • まとめ: 賃借人が破産しても賃貸借は当然には終了せず、対抗要件を備えていれば管財人の解除権も及ばない。
自作 / Q15

あなたはツバサ。入居者が古い設備を自費でグレードアップし、価値が増加したまま賃貸借が終了した。有益費の償還額は誰が選べるか。

正解: 2. 賃貸人が、支出額か増価額かを選ぶ

  • ① × 誤り。選択権は賃借人ではない。
  • ② ○ 正しい。民法196条2項により、支出額か増価額かの選択権は貸主(回復者)にある。
  • ③ × 誤り。折半という規定はない。
  • ④ × 誤り。必ず増価額になるわけではなく、選択制である。
  • 条文: 民法196条2項「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる」
  • 引っかけ: 選択権の主体を借主だと思い込む型。
  • まとめ: 有益費の償還額(支出額か増価額か)は貸主が選ぶ。
過去問 / 過去問 令和3年度 問25 / Q8

建物賃貸借契約における必要費償還請求権、有益費償還請求権及び造作買取請求権に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。ア 賃貸物件に係る必要費償還請求権を排除する旨の特約は有効である。イ 借主が賃貸物件の雨漏りを修繕する費用を負担し、貸主に請求したにもかかわらず、貸主が支払をしない場合、借主は賃貸借契約終了後も貸主が支払をするまで建物の明渡しを拒むことができ、明渡しまでの賃料相当損害金を負担する必要もない。ウ 借主が賃貸物件の汲取式トイレを水洗化し、その後賃貸借契約が終了した場合、借主は有益費償還請求権として、水洗化に要した費用と水洗化による賃貸物件の価値増加額のいずれか一方を選択して、貸主に請求することができる。エ 借主が賃貸物件に空調設備を設置し、賃貸借契約終了時に造作買取請求権を行使した場合、貸主が造作の代金を支払わないときであっても、借主は賃貸物件の明渡しを拒むことができない。

正解: 4. ア、エ

  • ① × 誤り。イが誤りのため組合せとして不適切(明渡しまでの使用利益=賃料相当損害金の返還義務は別途生じる)。
  • ② × 誤り。イ・ウとも誤りを含む。
  • ③ × 誤り。ウが誤り(有益費の選択権は借主ではなく貸主にある)。
  • ④ ○ 正しい。ア(必要費償還請求権を排除する特約は有効)とエ(造作買取請求権は建物全体の留置権の根拠にならない)はいずれも正しい。
  • 条文: 民法295条1項「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」
  • 条文: 民法196条2項「占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については…回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる」
  • ※ ウは有益費の選択権が借主でなく貸主にある点が誤り(196条2項)。
  • ※ エは造作代金債権に建物明渡しの留置権は及ばないという判例・通説の整理(条文の明文ではない)。
  • 引っかけ: 有益費の選択権の主体(貸主か借主か)のすり替え、留置権が及ぶ範囲の混同。
  • まとめ: 必要費排除特約は有効、有益費の選択権は貸主、造作代金債権に建物明渡しの留置権は及ばない。
自作 / Q16

あなたはツバサ。退去した元入居者が、明渡しから2年後に必要費の償還を請求してきた。井上さんはこの請求に応じる必要があるか。

正解: 2. 応じなくてよい。1年の期間を過ぎている

  • ① × 誤り。必要費の請求には期間制限がある。
  • ② ○ 正しい。民法622条が準用する600条1項により、貸主が返還を受けてから1年以内の請求が必要。2年後の請求には応じなくてよい。
  • ③ × 誤り。必要費自体が請求できないわけではなく、期間を過ぎたために拒めるという整理。
  • ④ × 誤り。半額という規定はない。
  • 条文: 民法622条・600条1項「契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない」
  • 引っかけ: 必要費は「直ちに請求できる」=期限がない、と誤解する型。
  • まとめ: 必要費は直ちに請求できるが、明渡し後の請求には1年の期間制限がある。
過去問 / 過去問 令和7年度 問3 / Q1

賃貸物件の修繕に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解: 2. 賃借人の子である幼稚園児が賃貸物件の排水管を詰まらせた場合、責任能力のない者の行為であるため賃借人が責任を負うことはなく、賃貸人に修繕義務が課される。

  • ① ○ 正しい。民法606条1項は任意規定で、修繕義務を賃借人に課す特約も有効。
  • ② × 誤り。子に責任能力が無くても、賃借人側の事情が原因なら606条1項ただし書の帰責事由にあたり、修繕義務は生じない。
  • ③ ○ 正しい。全く使用収益できない期間は、民法536条1項により賃料支払義務を免れる。
  • ④ ○ 正しい。損害を回避できたと解される時期以降の損害は、賠償の範囲が限定されることがある。
  • 条文: 民法606条1項「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」
  • 条文: 民法536条1項「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」
  • ※ 帰責事由にあたるかは、本人の不法行為責任能力の有無とは別問題。賃借人の占有範囲内の事由かで判断する。
  • 引っかけ: 責任能力の話(712条)と、修繕義務の帰責事由の話(606条)をすり替える型。
  • まとめ: 賃借人側の事情が原因なら、修繕義務を負う人が誰かは変わらない。
自作 / Q21

あなたはツバサ。巡回中に、入居者の部屋に来客が頻繁に出入りしているのを見つけた。転貸にあたるかどうかを見分けるポイントとして正しいのはどれか。

正解: 2. 独立して部屋を使用収益させ、対価を受け取っているかで判断する

  • ① × 誤り。人数だけでは転貸かどうかは判断できない。
  • ② ○ 正しい。賃借人が使用者のままで一時的に泊めているだけなら転貸ではなく、独立使用・対価負担があれば転貸にあたる。
  • ③ × 誤り。記載がないことだけで即断はできず、実態を確認する必要がある。
  • ④ × 誤り。滞在期間だけで自動的に転貸となるわけではない。
  • 条文: 民法612条1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」
  • 引っかけ: 表面的な事実(来客の存在)だけで転貸と決めつける型。
  • まとめ: 転貸かどうかは、独立使用と対価負担の実態で判断する。
過去問 / 過去問 令和6年度 問25 / Q3

建物の賃借権の譲渡及び転貸に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

正解: 4. 賃貸住宅の賃借権の譲渡につき賃貸人が承諾しない場合、賃借人は裁判所に対し、賃貸人の承諾に代わる許可を求めることはできない。

  • ① × 誤り。賃借人が死亡しても、賃借権は相続され、賃貸人は当然には解除できない。
  • ② × 誤り。選択肢では「使用貸借は転貸に該当しない」とするが、第三者に使用貸借で使わせることも民法612条の転貸に含まれる。
  • ③ × 誤り。612条1項により、禁止の定めがなくても賃貸人の承諾は常に必要。
  • ④ ○ 正しい。裁判所の承諾に代わる許可は借地借家法19条・20条の借地権(土地の賃借権)の制度で、建物賃貸借には同様の制度がない。
  • 条文: 民法612条1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」
  • 条文: 借地借家法19条1項「借地権者が…賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず…承諾しないときは、裁判所は…承諾に代わる許可を与えることができる」
  • ※ 19条・20条は「借地権」=建物所有目的の土地賃借権だけの制度で、建物を借りる借家契約には適用されない。
  • 引っかけ: 借地(土地)だけの制度を、借家(建物)にも当てはまると誤認させる型。
  • まとめ: 借家には裁判所の許可の制度がなく、譲渡・転貸は常に賃貸人の承諾が必要。
自作 / Q24

あなたはツバサ。台風で共用の物置が一時的に使えなくなった。大野さんの賃料は、大野さんが減額を求めない限り減額されないか。

正解: 2. 誤り。請求を待たず当然に減額される

  • ① × 誤り。改正後の611条1項は「請求」を要件としない。
  • ② ○ 正しい。民法611条1項により、使用収益できなくなった割合に応じて、賃料は請求を待たず当然に減額される。
  • ③ × 誤り。減額されないという結論は誤り。
  • ④ × 誤り。使えなくなった部分の割合に応じた減額であり、全額免除ではない。
  • 条文: 民法611条1項「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合…賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」
  • 引っかけ: 改正前の「減額請求」という古い理解を、改正後にも適用してしまう型。
  • まとめ: 一部使用不能の賃料減額は、請求を要さず当然に生じる。
過去問 / 過去問 令和7年度 問34 / Q4

土地、建物等に係る損害賠償責任に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解: 3. 竹木の栽植又は支持に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その所有者は損害賠償の責任を負うことはない。

  • ① ○ 正しい。民法717条1項、占有者が先に責任を負い、注意を尽くせば所有者が負う。
  • ② ○ 正しい。管理業者も、安全確保に事実上の支配があれば、占有者として責任を負うことがある。
  • ③ × 誤り。竹木も717条2項で1項が準用され、所有者の責任には注意による免責がない。
  • ④ ○ 正しい。エスカレーターは引渡し時点に欠陥があれば、不動産に付合した後も、製造物責任法の対象になり得る。
  • 条文: 民法717条1項「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は…責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」
  • 条文: 民法717条2項「前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する」
  • 条文: 製造物責任法2条1項「この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう」
  • ※ 占有者が注意を尽くしていれば所有者が負う、という同じ構造が竹木にも準用されるため、所有者側には「注意すれば免責」という逃げ道がない。
  • 引っかけ: 所有者にも占有者と同じ「注意すれば免責」があると思わせる型。
  • まとめ: 占有者は注意で免責、所有者は免責なし。この非対称が717条の急所。
自作 / Q25

あなたはツバサ。大地震で建物の主要部分が失われ、残存部分だけでは入居者が住む目的を達成できなくなった。入居者は何ができるか。

正解: 2. 契約の解除ができる

  • ① × 誤り。残存部分で目的を達成できない場合、賃借人には解除権がある。
  • ② ○ 正しい。民法611条2項により、残存部分のみでは賃借の目的を達成できないとき、賃借人は契約を解除できる。
  • ③ × 誤り。解除という選択肢があるため、払い続けるしかないわけではない。
  • ④ × 誤り。管理会社を訴える話ではなく、賃貸借契約の解除の問題。
  • 条文: 民法611条2項「残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる」
  • 引っかけ: 一部滅失の「減額(1項)」と「解除(2項)」の適用条件を混同する型。
  • まとめ: 目的を達成できない一部滅失では、賃借人に契約解除権が生じる。
自作 / Q29

あなたはツバサ。井上さんと弟さんの共有名義の建物で、外階段の修理をすることになった。誰の同意が必要か。

正解: 2. 保存行為にあたるので井上さん単独で決められる

  • ① × 誤り。単純な修理(保存行為)に全員の同意は不要。
  • ② ○ 正しい。民法252条5項により、保存行為は各共有者が単独でできる。
  • ③ × 誤り。行政の許可の問題ではない。
  • ④ × 誤り。何も決めずに進めてよいわけではなく、保存行為として単独でできると整理するのが正しい。
  • 条文: 民法252条5項「各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる」
  • 引っかけ: 「共有=すべて全員の同意が必要」という思い込み。
  • まとめ: 保存行為は共有者が単独でできる。
自作 / Q12

あなたはツバサ。入居者が故障を通知したのに、賃貸人が相当期間を過ぎても対応しない。この場合、入居者は何ができるか。

正解: 2. 自分で修繕できる(民法607条の2第1号)

  • ① × 誤り。607条の2第1号により、入居者は自分で修繕できる場合がある。
  • ② ○ 正しい。通知したのに相当期間内に修繕されない時は、賃借人が自分で修繕できる。
  • ③ × 誤り。この事情だけで直ちに解除できるとは限らない。
  • ④ × 誤り。家賃支払義務が当然に全額免除されるわけではない(一部使用不能なら611条の問題)。
  • 条文: 民法607条の2第1号「賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し…賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき」
  • 引っかけ: 賃借人の自己修繕権の要件(通知+相当期間の経過)を確認せず、常にできる/できないと決めつける型。
  • まとめ: 通知後、相当期間内に賃貸人が動かなければ、賃借人は自分で修繕できる。
自作 / Q14

あなたはツバサ。松本さんが給湯器の修理費を立て替えて支払った。松本さんはいつ賃貸人に費用の償還を請求できるか。

正解: 2. 直ちに請求できる

  • ① × 誤り。必要費は契約終了を待つ必要がない。
  • ② ○ 正しい。民法608条1項により、必要費は直ちに償還を請求できる。
  • ③ × 誤り。1年は必要費償還「請求権の消滅時効・期間制限」の話であり、請求できる時期ではない。
  • ④ × 誤り。必要費は賃貸人の負担に属するものであり、改めての承諾は請求の要件ではない。
  • 条文: 民法608条1項「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる」
  • 引っかけ: 必要費(直ちに請求可)と有益費(契約終了時に請求)の混同。
  • まとめ: 必要費は支出後、直ちに請求できる。
自作 / Q19

あなたはツバサ。契約書に転貸禁止の特約が書かれていない入居者から、「特約が無いから自由に転貸できますよね」と聞かれた。正しい答えはどれか。

正解: 2. いいえ、特約の有無にかかわらず賃貸人の承諾が必要です

  • ① × 誤り。612条1項は特約の有無を問わず承諾を要求する規定。
  • ② ○ 正しい。禁止特約がなくても、民法612条1項により賃貸人の承諾が常に必要。
  • ③ × 誤り。家賃を上げても承諾に代わるものにはならない。
  • ④ × 誤り。承諾を得れば転貸は可能であり、一切できないわけではない。
  • 条文: 民法612条1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」
  • 引っかけ: 「禁止する定めがない=自由にできる」という思い込み。
  • まとめ: 転貸・譲渡には、禁止特約の有無にかかわらず、常に賃貸人の承諾が必要。
自作 / Q20

あなたはツバサ。ある入居者が、無断で第三者に部屋を独立使用させ、家賃も第三者から受け取っていたことが判明した。井上さんは何ができるか。

正解: 2. 契約を解除できる

  • ① × 誤り。無断転貸は解除事由になる。
  • ② ○ 正しい。民法612条2項により、無断で第三者に使用収益させた場合、賃貸人は契約を解除できる。
  • ③ × 誤り。家賃を2倍請求できるという規定はない。
  • ④ × 誤り。賃貸人と契約関係にあるのは賃借人であり、まず賃借人との契約関係が問題になる。
  • 条文: 民法612条2項「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる」
  • 引っかけ: 転貸が発覚した後の対応を、賃借人ではなく転借人への対応だと誤解する型。
  • まとめ: 無断転貸・譲渡は、612条2項により契約解除の理由になる。
自作 / Q22

あなたはツバサ。井上さんの承諾を得て、入居者が適法に部屋の一部を転貸した。この場合、転借人はどのような義務を負うか。

正解: 2. 賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う

  • ① × 誤り。適法な転貸の場合、転借人は賃貸人に対しても義務を負う。
  • ② ○ 正しい。民法613条1項により、転借人は賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。
  • ③ × 誤り。賃借人に対してだけでなく、賃貸人に対しても直接の義務を負う。
  • ④ × 誤り。管理会社は契約当事者ではない。
  • 条文: 民法613条1項「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は…賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」
  • 引っかけ: 転貸借の当事者関係を、賃借人・転借人の間だけに限定してしまう型。
  • まとめ: 適法な転貸では、転借人は賃貸人に対しても直接の履行義務を負う。
自作 / Q28

あなたはツバサ。「うちは管理を受託しているだけで所有者ではないから、事故の責任は一切無い」という考え方は正しいか。

正解: 2. 誤り。事実上の支配があれば占有者として責任を負うことがある

  • ① × 誤り。占有者にあたれば所有者でなくても責任を負いうる。
  • ② ○ 正しい。建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合、管理業者も占有者として工作物責任を負うことがある。
  • ③ × 誤り。常に免責されるわけではない。
  • ④ × 誤り。占有者と所有者の責任は同一ではなく、占有者が先、所有者は注意を尽くした時のみ。
  • 条文: 民法717条1項「その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」
  • 引っかけ: 「所有者ではない=無関係」という思い込み。
  • まとめ: 事実上の支配があれば、所有者でなくても占有者として責任を負うことがある。
自作 / Q26

あなたはツバサ。共用の外階段の手すりが原因で入居者がけがをした。まず誰が損害賠償責任を負うか。

正解: 2. 占有者が先に責任を負う

  • ① × 誤り。717条1項は占有者を一次的責任者とする。
  • ② ○ 正しい。民法717条1項により、占有者が先に責任を負い、占有者が注意を尽くしていた場合に限り所有者が負う。
  • ③ × 誤り。業者は施工・点検の請負人であり、条文上の一次的責任者ではない。
  • ④ × 誤り。保証会社は家賃保証の当事者であり、工作物責任とは無関係。
  • 条文: 民法717条1項「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は…責任を負う」
  • 引っかけ: 「所有者だから最終的に責任を負う」を「所有者が最初に責任を負う」とすり替える型。
  • まとめ: 717条は占有者が一次的責任者、所有者は二次的。
自作 / Q27

あなたはツバサ。占有者が手すりの点検・注意を十分に尽くしていたことが確認された。この場合、所有者はどうなるか。

正解: 2. 所有者は注意の有無にかかわらず責任を負う

  • ① × 誤り。所有者に「注意を尽くせば免責」という規定はない。
  • ② ○ 正しい。占有者が注意を尽くしたときは、所有者が責任を負う(717条1項ただし書、無過失責任)。
  • ③ × 誤り。誰も責任を負わないという結論にはならない。
  • ④ × 誤り。占有者が注意を尽くした以上、占有者は免責される。
  • 条文: 民法717条1項ただし書「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」
  • 引っかけ: 占有者の免責要件(注意)が所有者にも同様にあると誤解する型。
  • まとめ: 占有者が注意を尽くせば免責、所有者は注意の有無を問わず責任を負う。
過去問 / 過去問 令和3年度 問8 / Q7

土地工作物責任に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。ア 建物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、一次的には所有者が土地工作物責任を負い、所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、占有者が土地工作物責任を負う。イ 建物の管理を行う賃貸住宅管理業者は、建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合、占有者として土地工作物責任を負うことがある。ウ 建物に建築基準法違反があることによって他人に損害を生じたときは、建設業者が損害賠償責任を負うのであって、建物の所有者及び占有者は土地工作物責任を負わない。エ 設置の瑕疵とは、設置当初から欠陥がある場合をいい、保存の瑕疵とは、設置当初は欠陥がなかったが、設置後の維持管理の過程において欠陥が生じた場合をいう。

正解: 3. イ、エ

  • ① × 誤り。アは主語が逆。717条1項は占有者が一次的責任者で、占有者が注意を尽くした時に所有者が責任を負う。
  • ② × 誤り。ウは誤り。建築基準法違反があっても、所有者・占有者の717条の責任は別途成立し得る。
  • ③ ○ 正しい。イ(管理業者が事実上の支配をなしうる場合の占有者責任)とエ(設置の瑕疵・保存の瑕疵の定義)はいずれも正しい。
  • ④ × 誤り。アの主語の逆転が含まれるため誤り。
  • 条文: 民法717条1項「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は…責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(占有者が先、所有者が後、という順序をひっくり返す型)。
  • まとめ: 717条は占有者が一次的責任者、所有者は占有者が注意を尽くした場合のみ責任を負う。
過去問 / 過去問 令和4年度 問23 / Q9

令和3年10月1日に締結された、賃貸住宅を目的とする賃貸借契約の借主の義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解: 4. 賃料債権は、時効期間が経過しても消滅時効を援用する旨の意思表示がなければ消滅しない。

  • ① × 誤り。一部滅失で契約の目的を達成できない場合、民法611条2項により賃借人は「解除できる」に留まり、当然に終了するわけではない。
  • ② × 誤り。選択肢では「請求することで減額される」とするが、改正後の611条1項は請求を要さず当然に減額される。
  • ③ × 誤り。差押え後の弁済でも、481条1項で差押債権者は損害の限度でなお請求できる。
  • ④ ○ 正しい。145条により、時効は当事者の援用がなければ裁判所は時効で裁判できない。
  • 条文: 民法611条1項「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合…賃料は…減額される」
  • 条文: 民法481条1項「差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は…第三債務者に請求することができる」
  • 条文: 民法145条「時効は、当事者…が援用しなければ、裁判所はこれによって裁判をすることができない」
  • 引っかけ: 「請求」が要る規定と「当然に」生じる規定の入れ替え(改正前後の混同)。
  • まとめ: 一部滅失の減額は当然発生、差押え後の弁済は対抗できず、時効は援用があって初めて効果が生じる。
自作 / Q11

あなたはツバサ。ある入居者が、自分で無理な改造をした結果、給湯器を壊してしまった。この場合、賃貸人の修繕義務はどうなるか。

正解: 2. 賃貸人は修繕義務を負わない

  • ① × 誤り。606条1項ただし書により、賃借人の責めに帰すべき事由がある場合、賃貸人は修繕義務を負わない。
  • ② ○ 正しい。賃借人自身の行為で故障した以上、賃貸人の修繕義務は生じない。
  • ③ × 誤り。管理会社は契約上の修繕義務の主体ではない。
  • ④ × 誤り。保証会社は家賃債務の保証をする立場で、修繕義務とは無関係。
  • 条文: 民法606条1項「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」
  • 引っかけ: 「修繕が必要になった原因」を確認せず、常に賃貸人が直すものと思い込む型。
  • まとめ: 賃借人の責めに帰すべき事由があれば、賃貸人の修繕義務は生じない。
自作 / Q23

あなたはツバサ。入居者から「賃貸人が転貸を承諾してくれないなら、裁判所に承諾に代わる許可を求められますよね」と聞かれた。建物賃貸借(借家)の場合、正しい答えはどれか。

正解: 2. いいえ、19条・20条の許可制度は借地権(土地の賃借権)専用で、借家にはありません

  • ① × 誤り。19条は借地権専用の制度。
  • ② ○ 正しい。19条・20条の裁判所の許可制度は借地権専用で、建物賃貸借には同様の制度がない。
  • ③ × 誤り。供託は賃料の受領拒否に対する制度であり、許可制度とは無関係。
  • ④ × 誤り。承諾を得れば転貸は可能であり、一切禁止ではない。
  • 条文: 借地借家法19条1項「借地権者が…裁判所は…承諾に代わる許可を与えることができる」
  • 引っかけ: 借地の制度を借家にもあると思い込む型。
  • まとめ: 裁判所の承諾に代わる許可の制度は借地権専用で、借家にはない。
自作 / Q33

あなたはツバサ。山田さんの破産手続開始前の未払い家賃について、ドアーズ賃貸管理は直接取り立てることができるか。

正解: 2. できない。破産債権として破産手続の中で扱われる

  • ① × 誤り。破産手続開始後は直接の取り立てができなくなる。
  • ② ○ 正しい。開始決定までの未払い家賃債権は破産債権として扱われ、破産手続によらなければ弁済を受けられない。
  • ③ × 誤り。保証会社を通しても、破産手続の外で無制限に請求できるわけではない。
  • ④ × 誤り。未払い家賃債権自体が消滅するわけではなく、破産債権として扱われる。
  • 条文: 破産法53条1項(双務契約の解除・履行請求の原則。未払債権は破産手続内で処理される一般原則の前提)
  • 引っかけ: 「破産=債権が消える」という思い込み。
  • まとめ: 破産手続開始前の未払い家賃は、破産債権として手続の中で扱われる。
自作 / Q31

あなたはツバサ。ある賃借人について破産手続が開始した。破産管財人は、原則としてどのような権限を持つか。

正解: 2. 双務契約について解除するか履行を請求するか選べる

  • ① × 誤り。原則として破産管財人には双務契約の解除権がある。
  • ② ○ 正しい。破産法53条1項により、破産管財人は双務契約を解除するか、履行を請求するかを選べる。
  • ③ × 誤り。存続させなければならないわけではない。
  • ④ × 誤り。53条の解除権の主体は破産管財人。
  • 条文: 破産法53条1項「双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる」
  • 引っかけ: 破産法53条の一般原則と、56条の特則(賃貸借の例外)を混同する型。
  • まとめ: 破産管財人は原則として双務契約の解除権・履行請求権を選べる。
自作 / Q32

あなたはツバサ。101号室の山田さんが自己破産を申し立てた。山田さんは建物の引渡しを受け、住み続けている。破産管財人は53条の解除権を使えるか。

正解: 2. 使えない。対抗要件を備えた賃借人には56条の特則が及ぶ

  • ① × 誤り。対抗要件を備えた賃借人には53条の解除権が及ばない。
  • ② ○ 正しい。破産法56条1項により、対抗要件(建物の引渡し)を備えた賃借人については53条の解除権は適用されない。
  • ③ × 誤り。1か月以内という期間制限はこの設例にはない。
  • ④ × 誤り。賃貸借契約自体は破産法53条の対象になり得るが、56条で例外が定められている。
  • 条文: 破産法56条1項「第五十三条第一項及び第二項の規定は…破産者の相手方が当該権利につき登記、登録その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない」
  • 引っかけ: 53条の原則だけを見て、56条の特則の存在を見落とす型。
  • まとめ: 建物の引渡しなど対抗要件を備えた賃借人には、破産管財人の53条解除権は及ばない。
自作 / Q17

あなたはツバサ。石井さんが、井上さんの同意を得ずに自費でエアコンを増設した。退去時、石井さんは造作買取請求権を使えるか。

正解: 2. 使えない。賃貸人の同意を得た造作でないと請求できない

  • ① × 誤り。同意のない造作には造作買取請求権は認められない。
  • ② ○ 正しい。借地借家法33条1項は「賃貸人の同意を得て…付加した…造作」に限って買取請求権を認める。
  • ③ × 誤り。半額という規定はない。
  • ④ × 誤り。同意の主体は賃貸人であり、管理会社の同意では足りない。
  • 条文: 借地借家法33条1項「建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した…造作がある場合には…その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる」
  • 引っかけ: 「取り付けた造作なら何でも買い取ってもらえる」という思い込み。
  • まとめ: 造作買取請求権は、賃貸人の同意を得て付加した造作だけに認められる。
自作 / Q18

あなたはツバサ。井上さんと入居者が、期間途中に合意で賃貸借契約を解除することになった。この場合、入居者は造作買取請求権を使えるか。

正解: 2. 使えない。期間満了・解約申入れによる終了に限られる

  • ① × 誤り。合意解除は、造作買取請求権が認められる終了事由に含まれない。
  • ② ○ 正しい。借地借家法33条1項は「期間の満了又は解約の申入れによって終了するとき」に限って買取請求権を認める。
  • ③ × 誤り。半額という規定はない。
  • ④ × 誤り。要件を満たせば、賃貸人の意思にかかわらず請求権を行使できる(形成権)。
  • 条文: 借地借家法33条1項「建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに…請求することができる」
  • 引っかけ: 終了事由(合意解除は対象外)を確認せず、どんな終了でも使えると思い込む型。
  • まとめ: 造作買取請求権は、期間満了・解約申入れによる終了の場合に限られる。