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第9話

持ち主と借り主が変わる ― 売買・相続・更新

35分25秒

この話の舞台

10〜11月

登場人物と「誰が何を決めるか」 → 舞台設定の全体 →

到達目標と条件

目標1賃借人が死亡しても契約がどう続くか(相続・内縁の同居人・敷金と家賃の請求先)を言える。
条文内容ポイント
民法896条相続の一般的効力賃借人の地位も当然に承継
借地借家法36条居住用建物の賃貸借の承継相続人がいない場合に限る
民法899条共同相続人の権利義務相続分に応じて当然に分割
くわしく(4項目)
  • 賃借人が死亡しても、賃貸借契約は終了せず、相続人が当然に地位を承継する(民法896条)。
  • 内縁の同居人は、相続人がいない場合に限り、賃借人の権利義務を承継できる(借地借家法36条)。
  • 敷金の返還請求権も、家賃の請求先も、そのまま相続人に引き継がれる。
  • 未払い賃料等の可分債権・可分債務は、遺産分割を待たず相続分に応じて分割される(899条)。
目標2更新の手続き(合意更新・法定更新・正当事由)と、定期借家との違いを言える。
条文内容ポイント
借地借家法26条1項法定更新1年前〜6か月前に通知、期間の定めなしに
借地借家法28条正当事由使用の必要性等が主、立退料は補完
借地借家法38条定期建物賃貸借更新が無い
くわしく(5項目)
  • 合意更新では更新料(68,000円)と更新事務手数料(34,000円)を扱う。
  • 更新拒絶の通知は、期間満了の1年前から6か月前までの間にする(借地借家法26条1項)。
  • 通知がなければ従前と同一条件で更新したとみなされるが、期間だけは定めがなくなる。
  • 更新拒絶には正当事由が必要(28条)。立退料は補完的要素にすぎない。
  • 定期借家(38条)は更新がなく、期間満了で終了する点が普通借家と違う。
目標3隣地との関係と、建物を売った時に賃貸借がどうなるか(地位移転・対抗力・抵当権)を言える。
条文内容ポイント
民法233条竹木の枝の切除及び根の切取り枝は切らせる、根は自分で切れる
民法605条の2賃貸人たる地位の移転対抗要件があれば当然移転、敷金も承継
民法605条の3合意による地位移転賃借人の承諾は不要
借地借家法31条建物賃貸借の対抗力引渡しで足りる
民法395条抵当建物使用者の引渡しの猶予買受けから6か月
くわしく(5項目)
  • 越境した枝は原則、竹木の所有者に切除させる。根は自分で切り取れる(民法233条)。
  • 境界付近の修繕等では、必要な範囲で隣地を使用できる(209条)。ライフラインの設備設置権もある(213条の2)。
  • 対抗要件(引渡し)を備えた賃借人には、建物が売られても賃貸人の地位が当然に移転する(605条の2)。
  • 賃借人の承諾は不要。売主・買主の合意だけでも地位を移転できる(605条の3)。敷金も買主が承継する。
  • 抵当権の設定登記より後に入居した人は、買受人に6か月しか明渡しを猶予されない(民法395条)。

覚える数字と条文

数字・条文内容
民法896条賃借人が死亡しても契約は終了せず、相続人が権利義務を当然に承継する。
民法896条ただし書被相続人の一身に専属した権利義務だけは相続されない。
借地借家法36条1項相続人がいない場合に限り、内縁の同居者が知った後1か月以内に反対しない限り承継する。
民法899条可分債権・可分債務(未払い賃料・敷金返還債務等)は、相続分に応じて当然に分割される。
更新料は家賃1か月分(68,000円)、更新事務手数料は家賃の0.5か月分(34,000円、world.md §3)。
借地借家法26条1項更新拒絶の通知は期間満了の1年前から6か月前までの間。通知がなければ従前と同一条件・期間の定めなしで更新。
借地借家法28条更新拒絶には正当事由が必要。使用の必要性等を総合考慮し、立退料は補完要素。
借地借家法38条1項定期建物賃貸借は更新がなく、期間満了で終了する。
民法233条1項・3項越境した枝は竹木の所有者に切除させるのが原則。催告後不履行・所有者不明・急迫の事情があれば自ら切除できる。
民法233条4項越境した根は、催告なしに自ら切り取ることができる。
民法209条1項境界付近の建物の修繕等のため必要な範囲で、隣地を使用できる。
民法213条の2第1項電気・ガス・水道水等の継続的給付を受けるため必要な範囲で、他の土地に設備を設置できる。
民法605条の2第1項対抗要件を備えた賃借人がいる不動産が譲渡されると、賃貸人たる地位は当然に譲受人に移転する。
民法605条の2第2項譲渡人・譲受人が留保の合意をすれば、賃貸人たる地位は譲渡人に留保される。
民法605条の2第3項地位の移転は、所有権移転登記がなければ賃借人に対抗できない。
民法605条の2第4項地位の移転に伴い、敷金の返還債務は譲受人が承継する。
民法605条の3賃借人の承諾を要しないで、譲渡人・譲受人の合意だけで賃貸人たる地位を移転できる。
借地借家法31条建物の賃貸借は、登記がなくても引渡しがあれば対抗力を生じる。
民法395条1項抵当権に対抗できない賃借人でも、買受けの時から6か月は明渡しを猶予される。
不動産登記法74条1項1号表題部所有者の相続人その他の一般承継人は、所有権の保存登記を申請できる。
登記には公信力がなく、真の権利者でない登記名義人からの取得では所有権を取得できない(判例・実務上の理解)。
賃借権の譲渡に伴う敷金は、地位移転の場合と異なり、新しい賃借人に当然には承継されない(判例)。
民法264条複数の相続人が賃借人の地位を承継すると、賃借権は相続人全員の準共有になる。
共同賃借人の家賃支払債務は性質上不可分債務とされ、貸主はどの相続人にも全額を請求できる(判例)。複数相続人への解約・更新拒絶の通知は全員に対して行う。
貸主が死亡した場合も、賃貸人の地位・敷金の返還債務は相続人が承継し、家賃債権は相続分に応じた分割債権になる(民法896条・899条)。
更新料は法律上の制度ではなく契約上の特約。最高裁平成23年7月15日判決は、高額すぎる等の特段の事情が無い限り消費者契約法10条に反せず有効とした。
法定更新後(期間の定めなし)の解約は、貸主から借地借家法27条で6か月前+28条の正当事由、借主から民法617条1項2号で3か月前(特約があればそれによる)。
民法395条2項買受人が家賃相当額を1か月以上催告しても賃借人が払わないと、6か月の明渡し猶予は適用されなくなる。
不動産登記規則4条4項登記記録の権利部は甲区(所有権)と乙区(所有権以外=抵当権・賃借権等)に区分される。

実務の流れ→ 横にスクロール

1
舞台
船橋・メゾン井上(木造2階建て8戸、築24年)。10〜11月、持ち主と借り主が変わる出来事が続く。
2
9-1 岡田さんの夫の死亡
203号室の岡田さんから、夫が亡くなったと電話。契約者は夫一人だった。
3
9-2 借家権の相続
民法896条により、奥様が当然に賃借人の地位を承継。内縁の場合は36条(相続人がいない場合限定)。
4
9-3 敷金・家賃の請求先
敷金返還請求権も相続財産。以後の家賃は奥様に請求する。複数相続人なら準共有・不可分債務(264条)。
5
9-4 吉田さんの更新
201号室の吉田さんが来所。合意更新で、更新料68,000円・更新事務手数料34,000円。更新料特約の有効性(最高裁平成23年7月15日)。
6
9-5 法定更新と正当事由
通知は1年前〜6か月前(26条)。更新拒絶には正当事由(28条)。更新後の解約は貸主6か月・借主3か月。定期借家との違いを復習。
7
9-6 高田さんの越境相談
隣地を買った高田さんから、枝の越境の相談。枝は切らせる、根は自分で切れる(233条)。ライフラインの設備設置権(213条の2)。
8
9-7・9-8 井上さんの「もし売ったら」
賃貸人の地位の当然移転(605条の2)、合意移転(605条の3)、敷金の承継、貸主死亡との対比、対抗力(31条)、抵当権と6か月の明渡猶予とその条件(395条)、登記事項証明書の甲区・乙区。
ひっかけ 18件
  • 「賃借人が死亡したら契約は終わる」という誤り(民法896条により相続人が当然に承継する)。
  • 「内縁の同居人は常に賃借人の地位を承継できる」という誤り(借地借家法36条は相続人がいない場合に限る)。
  • 「敷金は不可分債務として各相続人が全額を負う」という誤り(金銭債務は相続分に応じて分割される、899条)。
  • 「更新料と更新事務手数料は同じもの」という誤り(更新料は大家へ68,000円、更新事務手数料は管理会社へ34,000円)。
  • 「建物賃貸借にも民法の50年の期間制限が及ぶ」という誤り(借地借家法29条2項が適用を除外している)。
  • 「立退料さえ払えば更新を拒絶できる」という誤り(立退料は正当事由の補完要素にすぎない)。
  • 「越境した枝も根も、隣地の所有者がすぐ自分で切れる」という誤り(枝は原則所有者に切除させる、催告等の要件がある)。
  • 「賃貸人の地位の移転には賃借人の承諾が必要」という誤り(605条の2・605条の3のいずれも承諾は不要)。
  • 「賃借権の譲渡に伴う敷金は当然に新しい賃借人へ引き継がれる」という誤り(貸主変更時の敷金承継とは扱いが異なる)。
  • 「賃借権の対抗要件は登記だけ」という誤り(借地借家法31条により引渡しでも足りる)。
  • 「抵当権に対抗できない賃借人は競売後すぐに明渡さなければならない」という誤り(民法395条で6か月の猶予がある)。
  • 「登記を信頼して買えば、真の所有者でなくても所有権を取得できる」という誤り(登記に公信力はない)。
  • 「複数の相続人がいる家賃は頭割りでしか請求できない」という誤り(共同賃借人の家賃債務は不可分債務、判例)。
  • 「複数相続人の一人に通知すれば足りる」という誤り(解約・更新拒絶の通知は相続人全員に対して行う)。
  • 「更新料の特約は高すぎても常に有効」という誤り(高額すぎる等の特段の事情があれば消費者契約法10条により無効)。
  • 「法定更新後の解約はどちらも6か月」という誤り(貸主は27条で6か月、借主は617条で3か月)。
  • 「抵当権に対抗できない賃借人の6か月猶予は無条件」という誤り(家賃相当額の支払いを怠ると猶予は消える、395条2項)。
  • 「越境した枝は催告後不履行か急迫の2つの場合しか自分で切れない」という誤り(竹木の所有者不明の場合も含め3つ)。

到達目標(教科書)

目標1賃借人が死亡しても契約がどう続くか(相続・内縁の同居人・敷金と家賃の請求先)を言える。

条文内容ポイント
民法896条相続の一般的効力賃借人の地位も当然に承継
借地借家法36条居住用建物の賃貸借の承継相続人がいない場合に限る
民法899条共同相続人の権利義務相続分に応じて当然に分割
  • 賃借人が死亡しても、賃貸借契約は終了せず、相続人が当然に地位を承継する(民法896条)。
  • 内縁の同居人は、相続人がいない場合に限り、賃借人の権利義務を承継できる(借地借家法36条)。
  • 敷金の返還請求権も、家賃の請求先も、そのまま相続人に引き継がれる。
  • 未払い賃料等の可分債権・可分債務は、遺産分割を待たず相続分に応じて分割される(899条)。

目標2更新の手続き(合意更新・法定更新・正当事由)と、定期借家との違いを言える。

条文内容ポイント
借地借家法26条1項法定更新1年前〜6か月前に通知、期間の定めなしに
借地借家法28条正当事由使用の必要性等が主、立退料は補完
借地借家法38条定期建物賃貸借更新が無い
  • 合意更新では更新料(68,000円)と更新事務手数料(34,000円)を扱う。
  • 更新拒絶の通知は、期間満了の1年前から6か月前までの間にする(借地借家法26条1項)。
  • 通知がなければ従前と同一条件で更新したとみなされるが、期間だけは定めがなくなる。
  • 更新拒絶には正当事由が必要(28条)。立退料は補完的要素にすぎない。
  • 定期借家(38条)は更新がなく、期間満了で終了する点が普通借家と違う。

目標3隣地との関係と、建物を売った時に賃貸借がどうなるか(地位移転・対抗力・抵当権)を言える。

条文内容ポイント
民法233条竹木の枝の切除及び根の切取り枝は切らせる、根は自分で切れる
民法605条の2賃貸人たる地位の移転対抗要件があれば当然移転、敷金も承継
民法605条の3合意による地位移転賃借人の承諾は不要
借地借家法31条建物賃貸借の対抗力引渡しで足りる
民法395条抵当建物使用者の引渡しの猶予買受けから6か月
  • 越境した枝は原則、竹木の所有者に切除させる。根は自分で切り取れる(民法233条)。
  • 境界付近の修繕等では、必要な範囲で隣地を使用できる(209条)。ライフラインの設備設置権もある(213条の2)。
  • 対抗要件(引渡し)を備えた賃借人には、建物が売られても賃貸人の地位が当然に移転する(605条の2)。
  • 賃借人の承諾は不要。売主・買主の合意だけでも地位を移転できる(605条の3)。敷金も買主が承継する。
  • 抵当権の設定登記より後に入居した人は、買受人に6か月しか明渡しを猶予されない(民法395条)。

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自作 / Q13

あなたはツバサ。借地借家法36条で同居者が権利義務の承継を拒みたい場合、いつまでに、誰に対して意思を示す必要があるか。

正解: 1. 相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に、建物の賃貸人に

  • ① ○ 正しい。借地借家法36条1項は、知った後1か月以内に建物の賃貸人へ反対の意思表示をするよう定める。
  • ② × 誤り。期間は1か月で、届出先は市区町村ではなく賃貸人。
  • ③ × 誤り。期間の制限があり、届出先も保証会社ではない。
  • ④ × 誤り。期間は1か月で、家庭裁判所への届出でもない。
  • 条文: 借地借家法36条1項「ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない」
  • 引っかけ: 期間や届出先を、他の制度(相続放棄等)と混同させる型。
  • まとめ: 承継を拒むなら、知った後1か月以内に、賃貸人に対して意思表示する。
過去問 / 過去問 令和5年度 問26 / Q1

AがBに対して賃貸住宅(以下、「甲住宅」という。)を賃貸し、Bが居住している場合に関する以下の記述のうち、正しいものはいくつあるか。ア Aが甲住宅をCに売却しようとする場合、Bの承諾がなくとも売却することはできる。イ Aが甲住宅をCに売却しようとする場合、Aは、Bの承諾がなければ、AC間の合意で賃貸人の地位を移転させることはできない。ウ Aが融資を受けて甲住宅を建築し、同建物及び敷地に、借入金を被担保債権とする抵当権が設定され、登記されている場合において、抵当権が実行され、Cが甲住宅を買受けた場合、抵当権設定登記後に甲住宅に入居したBはCの買受時から3か月以内に甲住宅を明渡す必要がある。エ BがAの同意を得て、賃借権をDに譲渡した場合、敷金に関するBの権利義務関係はDに承継される。

正解: 1. 1つ

  • ① ○ 正しい。所有権を第三者に売ること自体に、賃借人の承諾は要りません。
  • ② × 誤り。民法605条の3は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人の合意だけで、賃貸人の地位を移転できるとしています。
  • ③ × 誤り。民法395条は、買受けの時から6か月間、明渡しを猶予すると定めています。3か月ではありません。
  • ④ × 誤り。賃借権の譲渡に伴う敷金は、当然にはDへ引き継がれないと解されています。
  • 条文: 民法605条の3「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる」
  • 条文: 民法395条1項「抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者…は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」
  • ※ 敷金は、賃貸人が変わる地位移転の場合は当然に承継されるが、賃借人が変わる譲渡の場合は当然には引き継がれない、非対称な扱いです。
  • 引っかけ: 「賃貸人の地位の移転」と「賃借人による賃借権の譲渡」で、敷金の扱いが逆になる点の混同。
  • まとめ: 売却は自由。地位の移転も承諾不要。ただし明渡し猶予は6か月、賃借権譲渡の敷金は非承継。
自作 / Q15

あなたはツバサ。岡田さんのご主人が亡くなった翌月から、家賃は誰に請求すればよいか。

正解: 1. 相続人である奥様(岡田さん)

  • ① ○ 正しい。奥様が賃借人の地位を承継しているので、以後の家賃は奥様に請求する。
  • ② × 誤り。家賃の請求は管理会社が委託を受けて行う業務であり、大家が自分で行うものではない。
  • ③ × 誤り。保証会社は滞納が生じた場合の保証者であり、通常の家賃請求先ではない。
  • ④ × 誤り。契約は継続しているので、家賃債務も引き続き発生する。
  • 条文: 民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」
  • 引っかけ: 契約者の死亡を、家賃の発生自体が止まる出来事と誤認させる型。
  • まとめ: 賃借人の地位を承継した相続人に、そのまま家賃を請求する。
過去問 / 過去問 令和6年度 問21 / Q2

定期建物賃貸借契約でない賃貸住宅の賃貸借契約の契約期間と更新に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。ア 賃貸借契約の契約期間は、50 年を超えることができない。イ 賃貸借契約では、契約期間を定めることが賃貸借契約の成立要件である。ウ 賃貸借契約において、賃貸人が契約の更新を拒絶する旨を通知したが、賃借人が期間満了後も賃貸住宅を使用し続け、賃貸人がこれに異議を述べない場合、賃貸借契約は更新されたものとみなされる。エ 賃貸借契約において、賃貸人が契約期間満了を原因として契約を終了させる更新拒絶の通知には正当事由の具備が必要となるところ、財産上の給付(いわゆる立退料)は正当事由の補完要素として考慮されるに過ぎない。

正解: 4. ウ、エ

  • ① × 誤り。借地借家法29条2項は、民法604条の50年の上限を、建物の賃貸借には適用しないとしています。
  • ② × 誤り。期間を定めない建物賃貸借も、有効な契約として成立します。
  • ③ ○ 正しい。借地借家法26条2項、賃借人が使用を続け、賃貸人が遅滞なく異議を述べなければ、更新したものとみなされます。
  • ④ ○ 正しい。立退料の提供は、正当事由そのものではなく、補完的な要素として考慮されるにとどまります。
  • 条文: 借地借家法29条2項「民法…第六百四条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない」
  • 条文: 借地借家法26条2項「前項の通知をした場合であっても…建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする」
  • 条文: 借地借家法28条「…建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに…財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」
  • ※ 立退料の申出は、正当事由の判断要素の一つに過ぎず、それだけで正当事由が満たされるわけではありません。
  • 引っかけ: 建物の賃貸借にも民法の一般的な期間制限(50年)が及ぶと誤認させる型。
  • まとめ: 建物賃貸借に期間の上限はなく、無期限の契約も有効。更新拒絶には正当事由が必要で、立退料は補完要素。
自作 / Q16

あなたはツバサ。相続人が複数いる場合、被相続人が受け取るはずだった未払いの家賃債権は、どのように扱われるか。

正解: 2. 遺産分割を待たず、相続分に応じて当然に分割される

  • ① × 誤り。可分債権は遺産分割を待たずに、相続開始時に当然に分割される。
  • ② ○ 正しい。民法899条により、各相続人はその相続分に応じて権利義務を承継する。
  • ③ × 誤り。年長者がすべて受け取るという規定はない。
  • ④ × 誤り。未払い家賃債権も金銭債権として相続の対象になる。
  • 条文: 民法899条「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」
  • 引っかけ: 遺産分割が終わるまで何もできない、と誤認させる型。
  • まとめ: 金銭債権は遺産分割を待たず、相続分に応じて当然に分割される。
過去問 / 過去問 令和7年度 問7 / Q3

賃貸借契約の当事者の死亡に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解: 2. 賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に発生した敷金返還債務は不可分債務となり、各相続人がそれぞれ賃借人に対して全額の返還債務を負担する。

  • ① ○ 正しい。未払いの賃料債権のような可分債権は、遺産分割を待たず、相続分に応じて当然に分割されます。
  • ② × 誤り。敷金返還債務も金銭債務なので、不可分債務ではなく、相続分に応じて分割されます。
  • ③ ○ 正しい。借地借家法36条、内縁の同居者は、1か月以内に反対の意思を示さない限り、権利義務を承継します。
  • ④ ○ 正しい。公営住宅の使用権は、相続人がいても当然には承継されないと考えられています。
  • 条文: 民法899条「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」
  • 条文: 借地借家法36条1項「居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において…事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」
  • ※ 敷金返還債務・未払賃料債権はどちらも金銭債務で、性質上分割できるため、相続分に応じて分かれます。
  • 引っかけ: 敷金だけ特別扱いして「全額請求できる不可分債務」と思わせる型。
  • まとめ: 金銭債権・金銭債務は、相続分に応じて当然に分割される。敷金も例外ではない。
自作 / Q17

あなたはツバサ。201号室の吉田さんと合意更新をする際、世界設定の家賃68,000円をもとにすると、更新料はいくらか。

正解: 2. 68,000円

  • ① × 誤り。34,000円は更新事務手数料(家賃の0.5か月分)の金額。
  • ② ○ 正しい。更新料は家賃1か月分、68,000円である。
  • ③ × 誤り。136,000円は家賃2か月分で、設定にはない金額。
  • ④ × 誤り。3,400円は管理委託料(1戸あたり)の金額。
  • 条文: world.md §3(世界設定)「更新料は家賃1か月」
  • 引っかけ: 更新料と更新事務手数料の金額を取り違えさせる型。
  • まとめ: 更新料は家賃1か月分(68,000円)、更新事務手数料は0.5か月分(34,000円)。
過去問 / 過去問 令和4年度 問25 / Q4

Aは賃貸住宅(以下、「甲住宅」という。)を所有し、各部屋を賃貸に供しているところ、令和2年、X銀行から融資を受けてこの建物を全面的にリフォームした。甲住宅には融資の担保のためX銀行の抵当権が設定された。Bは抵当権の設定登記前から甲住宅の一室を賃借して居住しており、CとDは抵当権の設定登記後に賃借して居住している。この事案に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。なお、各記述は独立しており、相互に関係しないものとする。ア 賃借権の対抗要件は、賃借権の登記のみである。イ Bが死亡し相続が開始した場合、相続の開始が抵当権の設定登記より後であるときは、相続人はX銀行の同意を得なければ、賃借権を同銀行に対抗することができない。ウ AがX銀行に弁済することができず、同銀行が甲住宅の競売を申し立てた場合、Cの賃借権は差押えに優先するため、賃借権をX銀行に対抗することができる。エ AがX銀行に弁済することができず、同銀行が甲住宅の競売を申し立てEがこれを買い受けた場合、Eは、競売開始決定前に甲住宅の部屋を賃借し使用収益を開始したDに対し敷金返還義務を負わない。

正解: 3. 3つ

  • ① × 誤り。借地借家法31条、賃借権の対抗要件は登記だけでなく、引渡しでも足ります。
  • ② × 誤り。相続人は、亡くなったBの地位をそのまま引き継ぐので、対抗要件の先後もB自身の引渡し時点で判断され、銀行の同意は不要です。
  • ③ × 誤り。Cは抵当権の設定登記より後に借りた人なので、賃借権は抵当権に劣後し、対抗できません。
  • ④ ○ 正しい。抵当権に対抗できない賃借人Dに対しては、買受人のEは敷金の返還義務を負いません。
  • 条文: 借地借家法31条「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」
  • 条文: 民法395条1項「抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者…は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」
  • ※ 対抗要件を備えた時期が、抵当権の設定登記より前か後かで、賃借人が新しい所有者に賃借権を主張できるかが決まります。
  • 引っかけ: 賃借権の対抗要件を登記だけに限定させたり、相続で対抗要件の先後が変わると誤認させる型。
  • まとめ: 賃借権の対抗要件は引渡しでも足りる。対抗できない賃借人の敷金は、新しい所有者に引き継がれない。
自作 / Q18

あなたはツバサ。吉田さんの更新にあたり、うちが受け取る更新事務手数料はいくらか。

正解: 3. 34,000円

  • ① × 誤り。68,000円は更新料(大家である井上さんへの支払い)。
  • ② × 誤り。27,200円は毎月の管理委託料(8戸分)。
  • ③ ○ 正しい。更新事務手数料は家賃の0.5か月分、34,000円である。
  • ④ × 誤り。更新事務手数料は管理会社の収入として設定されている。
  • 条文: world.md §3(世界設定)「更新事務手数料は家賃の0.5か月」
  • 引っかけ: 更新料(大家へ)と更新事務手数料(管理会社へ)の受取先を混同させる型。
  • まとめ: 更新料は大家へ、更新事務手数料は管理会社へ。金額も別々。
過去問 / 過去問 令和7年度 問5 / Q8

賃貸借契約の終了に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

正解: 1. 賃貸人が期間の定めのある建物賃貸借契約を期間の満了をもって更新せず終了させる場合、更新拒絶には正当事由の具備が必要となるところ、正当事由は具備されてから6か月間持続しなければならない。

  • ① ○ 正しい。判例上、正当事由は通知後の猶予期間を通じて持続する必要があるとされる(条文の明文ではない)。
  • ② × 誤り。立退料の申出は補完的要素であり、使用を必要とする事情等が主たる要素とされる(選択肢は主従が逆)。
  • ③ × 誤り。中途解約の定めがなければ、賃借人であっても期間内解約は原則できない(民法618条は特約がある場合のみ準用)。
  • ④ × 誤り。賃借人の解約は借地借家法27条(貸主専用・6か月)ではなく、民法617条1項2号で3か月。
  • 条文: 借地借家法28条「…賃貸人及び賃借人…が建物の使用を必要とする事情のほか…財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」
  • 条文: 民法618条「当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する」
  • 条文: 民法617条1項2号「建物の賃貸借は…解約の申入れの日から三箇月を経過することによって終了する」
  • ※① の「猶予期間中の持続」は判例・実務上の理解にもとづき、条文の明文はない(sources.md参照)。
  • 引っかけ: 正当事由の主従関係や、貸主・借主どちらの解約かによる期間(6か月/3か月)を取り違えさせる型。
  • まとめ: 立退料は補完要素。期間の定めのない賃貸借は、借主からの解約なら3か月、貸主からなら6か月で終了。
自作 / Q19

あなたはツバサ。吉田さんとの契約を更新しない場合、いつまでに通知しなければならないか。

正解: 2. 期間満了の1年前から6か月前までの間

  • ① × 誤り。1か月前という期間の定めではない。
  • ② ○ 正しい。借地借家法26条1項は、期間満了の1年前から6か月前までの間の通知を求める。
  • ③ × 誤り。満了当日の通知では遅すぎる。
  • ④ × 誤り。満了後の通知では、法定更新を止められない。
  • 条文: 借地借家法26条1項「当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して…通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」
  • 引っかけ: 通知の期限を、他の書類(契約締結時書面の「遅滞なく」等)と混同させる型。
  • まとめ: 更新しない通知は、満了の1年前から6か月前までの間にする。
過去問 / 過去問 令和7年度 問27 / Q5

相隣関係に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。ア 土地の所有者は、境界付近における建物の修繕のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。イ 土地の所有者は、他の土地に設備を設置しなければガスの供給を受けることができないときは、ガスの供給を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置することができる。ウ 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、急迫の事情がある場合であっても、竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときでなければ、土地所有者は、自ら越境した枝を切除することができない。エ 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、竹木の所有者に根を切除するよう催告し、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときでなければ、土地所有者は、自ら越境した根を切除することができない。

正解: 1. ア、イ

  • ① ○ 正しい。民法209条、境界付近の建物の修繕のため必要な範囲で、隣地を使用できます。
  • ② ○ 正しい。民法213条の2、ガスなどの継続的な供給を受けるため必要な範囲で、他の土地に設備を設置できます。
  • ③ × 誤り。急迫の事情があるときは、催告なしに、土地の所有者が自分で枝を切り取れます。
  • ④ × 誤り。越境した根は、そもそも催告なしに、土地の所有者が自分で切り取れます。
  • 条文: 民法209条1項「土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。一 境界又はその付近における…建物…の築造、収去又は修繕」
  • 条文: 民法213条の2第1項「土地の所有者は…電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは…他の土地に設備を設置し…することができる」
  • 条文: 民法233条3項「次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。…三 急迫の事情があるとき」
  • 条文: 民法233条4項「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」
  • ※ 枝は「切らせる」のが原則で、催告しても切らない時や急迫の事情がある時だけ自分で切れます。根は最初から自分で切れます。
  • 引っかけ: 枝の切除ルールを、根にもそのまま当てはめさせる型。
  • まとめ: 枝は原則所有者に切らせる、根は自分で切り取れる。この非対称が相隣関係の急所。
自作 / Q20

あなたはツバサ。通知をしないまま期間が満了し、法定更新となった場合、更新後の契約期間はどうなるか。

正解: 2. 期間の定めのない契約になる

  • ① × 誤り。条件は従前と同一だが、期間だけは定めがないものとされる。
  • ② ○ 正しい。借地借家法26条1項ただし書により、更新後は期間の定めのない契約となる。
  • ③ × 誤り。定期借家契約になるには、別途の書面と事前説明が必要で、自動的にはならない。
  • ④ × 誤り。1年に短縮されるという規定はない。
  • 条文: 借地借家法26条1項「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする」
  • 引っかけ: 「従前と同一の条件」を、期間まで含めてすべて同じと誤認させる型。
  • まとめ: 法定更新は条件は同じでも、期間だけは定めのない契約になる。
過去問 / 過去問 令和3年度 問24 / Q6

Aを貸主、Bを借主とする建物賃貸借契約においてBが死亡した場合に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実及び特約はないものとする。

正解: 3. Aが地方公共団体の場合で、賃貸住宅が公営住宅(公営住宅法第2条第2号)であるときに、Bが死亡しても、その相続人は当然に使用権を相続によって承継することにはならない。

  • ① × 誤り。相続人がいる場合、36条は適用されないが、判例上、内縁の妻は相続人の賃借権を援用でき、明渡し請求に対抗できるとされる。
  • ② × 誤り。相続人がいない場合は、借地借家法36条により、内縁の同居者が賃借人の権利義務を承継するため、明渡しを拒める。
  • ③ ○ 正しい。公営住宅の使用権は、その性格上、相続人が当然に承継するものではないとされている。
  • ④ × 誤り。相続人がいない場合でも、借地借家法36条により、内縁の同居者がいれば賃借権は消滅せず承継される。
  • 条文: 借地借家法36条1項「居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において…事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」
  • ※ 相続人がいる場合の内縁配偶者の保護は、相続人の賃借権を援用する判例上の法理による(条文の明文ではない)。
  • 引っかけ: 相続人の有無で結論が逆になる36条の適用条件を混同させる型。
  • まとめ: 36条は相続人がいない場合のみ。相続人がいる場合の内縁配偶者保護は別の法理による。
自作 / Q23

あなたはツバサ。高田さんの土地に、メゾン井上の木の枝が越境している。原則として、誰が枝を切るか。

正解: 2. 木の所有者(井上さん側)に切らせる

  • ① × 誤り。原則は、竹木の所有者に切除させる形であり、隣地の所有者が自由に切れるわけではない。
  • ② ○ 正しい。民法233条1項は、土地の所有者は竹木の所有者に枝を切除させることができると定める。
  • ③ × 誤り。市区町村への依頼という制度ではない。
  • ④ × 誤り。切除させる方法自体は認められている。
  • 条文: 民法233条1項「土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」
  • 引っかけ: 「切ってよい」を、隣地所有者が自分で切れると誤認させる型。
  • まとめ: 枝は、原則として竹木の所有者に切除させる。
自作 / Q26

あなたはツバサ。メゾン井上の外壁修繕で、どうしても高田さんの土地に立ち入る必要がある場合、どうなるか。

正解: 2. 必要な範囲で、隣地を使用できる

  • ① × 誤り。承諾がなくても、条文上の要件を満たせば使用できる(ただし住家は居住者の承諾が必要)。
  • ② ○ 正しい。民法209条1項は、境界付近の建物の修繕等のため必要な範囲で隣地を使用できると定める。
  • ③ × 誤り。行政の許可という制度ではない。
  • ④ × 誤り。隣地使用権があるので、修繕自体を諦める必要はない。
  • 条文: 民法209条1項「土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。一 境界又はその付近における…建物…の築造、収去又は修繕」
  • 引っかけ: 隣地使用に、常に相手の承諾が必須と誤認させる型。
  • まとめ: 境界付近の修繕等のためなら、必要な範囲で隣地を使用できる。
自作 / Q27

あなたはツバサ。井上さんの新しいアパート計画で、ガスの引込みに隣地への設備設置が必要になった。これは可能か。

正解: 2. 必要な範囲内で、他の土地に設備を設置できる

  • ① × 誤り。土地を買い取らなくても、設置権の行使で対応できる。
  • ② ○ 正しい。民法213条の2第1項は、ガス等の継続的給付を受けるため必要な範囲で他の土地に設備を設置できると定める。
  • ③ × 誤り。ガスも電気・水道水と並んで対象に含まれる。
  • ④ × 誤り。行政が代行する制度ではなく、土地所有者自身が行使する権利である。
  • 条文: 民法213条の2第1項「土地の所有者は…電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは…他の土地に設備を設置し…することができる」
  • 引っかけ: ガスは対象外と誤認させる型。
  • まとめ: 電気・ガス・水道水などの継続的給付のためなら、必要な範囲で他の土地に設備を設置できる。
自作 / Q24

あなたはツバサ。高田さんが井上さん側に枝の切除を催告したが、相当期間内に切除されない場合、高田さんはどうできるか。

正解: 1. 自分で枝を切り取ることができる

  • ① ○ 正しい。民法233条3項1号により、催告後相当期間内に切除しないときは、自ら切り取ることができる。
  • ② × 誤り。催告後、一定の要件を満たせば自ら切除できる。
  • ③ × 誤り。裁判所の許可は不要である。
  • ④ × 誤り。急迫の事情があるケースでは、枝も自分で切除できる。
  • 条文: 民法233条3項「次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき」
  • 引っかけ: 催告してもなお何もできないと誤認させる型。
  • まとめ: 催告して相当期間内に切除されなければ、自分で枝を切り取れる。
自作 / Q46

あなたはツバサ。土地の所有者は、いつでも自由に(催告なしで)越境した枝を切り取れる、という理解は正しいか。

正解: 2. 誤り。3つの場合(催告後不履行・所有者不明・急迫)のいずれかに限られる

  • ① × 誤り。いつでも自由に切れるわけではない。
  • ② ○ 正しい。民法233条3項は、催告後の不履行・竹木の所有者不明・急迫の事情の3つに限り自ら切除できるとする。
  • ③ × 誤り。裁判所の許可という制度ではない。
  • ④ × 誤り。根は催告なしに常に自ら切り取れる点で、枝とは扱いが異なる(233条4項)。
  • 条文: 民法233条3項「次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。三 急迫の事情があるとき」
  • 引っかけ: 3つの場合のうち「所有者不明」を見落とし、2つだけと誤認させる型。
  • まとめ: 枝を自ら切り取れるのは、催告後不履行・所有者不明・急迫の事情の3つの場合に限る。
自作 / Q25

あなたはツバサ。高田さんの土地に、メゾン井上の木の根が越境している場合、高田さんはどうできるか。

正解: 2. 催告なしに、自分で根を切り取ることができる

  • ① × 誤り。根については、枝と異なり催告の要件は課されていない。
  • ② ○ 正しい。民法233条4項は、越境した根は自ら切り取ることができると定める。
  • ③ × 誤り。根は切除が認められている。
  • ④ × 誤り。市区町村の許可という制度ではない。
  • 条文: 民法233条4項「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」
  • 引っかけ: 枝と根で同じ手続(催告)が必要と誤認させる型。
  • まとめ: 根は、枝と違って催告なしに自分で切り取れる。
自作 / Q38

あなたはツバサ。岡田さんに子が2人いて、賃借人の地位を共同で相続した場合、家賃の支払いについて正しいのはどれか。

正解: 2. どちらの相続人にも全額を請求できる

  • ① × 誤り。長男だけに限定される理由はない。
  • ② ○ 正しい。共同賃借人の家賃支払債務は性質上不可分債務とされ、どちらにも全額を請求できる(判例)。
  • ③ × 誤り。不可分債務なので、頭割りではなく全額を請求できる。
  • ④ × 誤り。相続人が賃借人の地位を承継しているので請求できる。
  • 条文: 民法430条(参考・不可分債務)「第四款(連帯債務)の規定…は、債務の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債務者があるときについて準用する」
  • 引っかけ: 複数人での賃借を、頭割りの分割債務と誤認させる型。
  • まとめ: 共同賃借人の家賃支払いは不可分債務。相続人の誰か一人に全額を請求できる。
自作 / Q21

あなたはツバサ。井上さんが吉田さんとの更新を拒みたいと相談してきた。正当事由の判断で、主に考慮される事情は何か。

正解: 2. 双方の使用の必要性・従前の経過・利用状況・現況等を総合して判断

  • ① × 誤り。立退料の申出は補完的な要素であり、それだけで判断されるわけではない。
  • ② ○ 正しい。借地借家法28条は、双方の使用の必要性等を考慮して正当事由の有無を判断すると定める。
  • ③ × 誤り。大家の年齢だけで正当事由が認められるわけではない。
  • ④ × 誤り。入居者の年収は考慮要素として条文に定められていない。
  • 条文: 借地借家法28条「建物の賃貸人及び賃借人…が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況…を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」
  • 引っかけ: 立退料の提供だけで正当事由が満たされると誤認させる型。
  • まとめ: 正当事由は、使用の必要性等を総合的に見て判断し、立退料は補完要素にすぎない。
自作 / Q33

あなたはツバサ。入居者は、賃借権の登記をしていない。それでも、建物を買った第三者に賃借権を主張できるのはどんな場合か。

正解: 1. 建物の引渡しを受けていれば主張できる

  • ① ○ 正しい。借地借家法31条は、建物の引渡しがあれば、その後の取得者にも賃借権を対抗できると定める。
  • ② × 誤り。登記がなくても、引渡しがあれば対抗できる。
  • ③ × 誤り。前払いの有無は対抗要件とは無関係。
  • ④ × 誤り。保証会社との契約は対抗要件ではない。
  • 条文: 借地借家法31条「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」
  • 引っかけ: 賃借権の対抗要件を登記のみと限定させる型。
  • まとめ: 建物の引渡しがあれば、登記がなくても賃借権を対抗できる。
自作 / Q22

あなたはツバサ。吉田さんの契約(普通建物賃貸借)と、第5話で扱った定期借家契約の、更新に関する一番の違いは何か。

正解: 1. 普通借家は更新があるが、定期借家は更新がなく期間満了で終了する

  • ① ○ 正しい。普通借家は法定更新等で更新されうるが、定期借家は借地借家法38条1項により更新がない。
  • ② × 誤り。定期借家には更新という制度自体がない。
  • ③ × 誤り。普通借家には法定更新・合意更新がある。
  • ④ × 誤り。更新料の高低の比較は、条文上の違いではない。
  • 条文: 借地借家法38条1項「…契約の更新がないこととする旨を定めることができる」
  • 引っかけ: 普通借家と定期借家の一番の違い(更新の有無)を、金額の違いにすり替える型。
  • まとめ: 普通借家は更新がある、定期借家は更新がなく期間満了で終了する。
自作 / Q34

あなたはツバサ。抵当権の設定登記後に入居した人がいる建物が競売にかけられ、買受人が決まった。この入居者は、いつまでに明渡しをすればよいか。

正解: 1. 買受人の買受けの時から6か月を経過するまでは、明渡す必要がない

  • ① ○ 正しい。民法395条1項は、抵当権者に対抗できない賃借人でも、買受けの時から6か月は明渡しを猶予すると定める。
  • ② × 誤り。直ちにではなく、6か月間の猶予がある。
  • ③ × 誤り。1か月ではなく6か月。
  • ④ × 誤り。猶予はあるが、6か月経過後は明渡しが必要になる。
  • 条文: 民法395条1項「…抵当建物使用者…は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」
  • 引っかけ: 猶予期間の月数(6か月)を、他の制度の期間(1か月・3か月等)とすり替える型。
  • まとめ: 抵当権に対抗できない賃借人でも、買受けから6か月は明渡しを猶予される。
自作 / Q44

あなたはツバサ。抵当権に対抗できない賃借人が、買受人から家賃相当額の支払いを1か月以上催告されても払わない場合、6か月の明渡し猶予はどうなるか。

正解: 1. 猶予は消える

  • ① ○ 正しい。民法395条2項により、催告に応じないと明渡しの猶予は適用されなくなる。
  • ② × 誤り。催告に応じなければ猶予は消える。
  • ③ × 誤り。延長される制度ではない。
  • ④ × 誤り。保証会社が肩代わりすれば猶予が続くという規定ではない。
  • 条文: 民法395条2項「買受人の買受けの時より後に…使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない」
  • 引っかけ: 6か月の猶予を、無条件で認められるものと誤認させる型。
  • まとめ: 6か月の猶予には条件がある。家賃相当額の支払いを怠ると猶予は消える。
自作 / Q28

あなたはツバサ。井上さんがメゾン井上を第三者に売った場合、引渡しを受けている入居者との関係で、賃貸人の地位はどうなるか。

正解: 2. 買主に当然に移転する

  • ① × 誤り。対抗要件(引渡し)を備えた賃借人に対しては、承諾がなくても当然に移転する。
  • ② ○ 正しい。民法605条の2第1項により、対抗要件を備えた賃借人がいる不動産の譲渡では、賃貸人たる地位は買主に移転する。
  • ③ × 誤り。原則は買主への当然移転である(留保の合意がある場合は別)。
  • ④ × 誤り。賃貸人たる地位が保証会社に移るという制度ではない。
  • 条文: 民法605条の2第1項「…賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する」
  • 引っかけ: 地位の移転に、賃借人の承諾が必要と誤認させる型。
  • まとめ: 対抗要件を備えた賃借人がいれば、賃貸人の地位は買主に当然に移転する。
自作 / Q29

あなたはツバサ。井上さんが売却後も自分で賃貸人であり続けたい場合、どうすればよいか。

正解: 2. 買主との間で、地位を売主に留保し、買主が売主に建物を賃貸する旨を合意する

  • ① × 誤り。留保のために入居者の承諾は不要。
  • ② ○ 正しい。民法605条の2第2項により、譲渡人と譲受人が留保の合意等をすれば、地位は譲渡人に留保される。
  • ③ × 誤り。合意がなければ、原則どおり買主に当然移転する。
  • ④ × 誤り。留保の合意という制度は条文にある。
  • 条文: 民法605条の2第2項「不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない」
  • 引っかけ: 留保に入居者の承諾が必要と誤認させる型。
  • まとめ: 譲渡人・譲受人間の合意だけで、賃貸人の地位を売主に留保できる。
自作 / Q30

あなたはツバサ。買主が、まだ所有権移転登記を済ませていない段階で、入居者に家賃を請求してきた。入居者は支払わなければならないか。

正解: 1. 支払を拒める

  • ① ○ 正しい。民法605条の2第3項により、地位の移転は所有権移転登記がなければ賃借人に対抗できない。
  • ② × 誤り。登記を備えていない買主からの請求には、支払を拒める。
  • ③ × 誤り。半額という扱いはない。
  • ④ × 誤り。登記の有無で判断でき、保証会社の確認は不要。
  • 条文: 民法605条の2第3項「第一項…の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」
  • 引っかけ: 所有権が移転すれば即座に新所有者へ支払義務が生じると誤認させる型。
  • まとめ: 賃貸人たる地位の移転を賃借人に対抗するには、所有権移転登記が必要。
自作 / Q31

あなたはツバサ。井上さんがメゾン井上を売却し、賃貸人の地位が買主に移転した場合、入居者から預かっている敷金の返還債務はどうなるか。

正解: 2. 買主が承継する

  • ① × 誤り。地位の移転に伴い、敷金の返還債務も買主に移る。
  • ② ○ 正しい。民法605条の2第4項により、賃貸人たる地位の移転時に、敷金の返還債務は譲受人が承継する。
  • ③ × 誤り。敷金債務は消滅せず、承継される。
  • ④ × 誤り。保証会社は無関係で、承継するのは買主。
  • 条文: 民法605条の2第4項「…賃貸人たる地位が譲受人…に移転したときは…敷金の返還に係る債務は、譲受人…が承継する」
  • 引っかけ: 敷金は売主・買主どちらが返すか、という帰属先を混同させる型。
  • まとめ: 地位の移転に伴い、敷金の返還債務も買主が承継する。
自作 / Q32

あなたはツバサ。井上さんと買主が、賃貸人の地位を移転する合意をした。この移転に、入居者の承諾は必要か。

正解: 2. 不要

  • ① × 誤り。民法605条の3は、賃借人の承諾を要しないと明記している。
  • ② ○ 正しい。売主が賃貸人の場合、賃借人の承諾を要しないで、売主・買主の合意だけで地位を移転できる。
  • ③ × 誤り。保証会社の承諾という要件はない。
  • ④ × 誤り。裁判所の許可は不要。
  • 条文: 民法605条の3「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる」
  • 引っかけ: 賃貸借契約の変更には常に賃借人の承諾が必要、と一般化させる型。
  • まとめ: 賃貸人の地位の移転(合意による場合も)は、賃借人の承諾を要しない。
自作 / Q11

あなたはツバサ。相続について説明する中で、ドアくんに「相続されないものもある」と伝えたい。民法896条のただし書が定める、相続されない権利義務とは何か。

正解: 1. 被相続人の一身に専属したもの

  • ① ○ 正しい。民法896条ただし書は、被相続人の一身に専属した権利義務は相続されないと定める。
  • ② × 誤り。敷金返還請求権は金銭債権であり、一身専属権ではなく相続の対象になる。
  • ③ × 誤り。未払い賃料の支払義務も金銭債務であり、相続の対象になる。
  • ④ × 誤り。賃借人の地位も、一身専属権とは解されておらず、相続の対象になる。
  • 条文: 民法896条「ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない」
  • 引っかけ: 賃貸借に関するお金の権利義務を、一身専属権と誤認させる型。
  • まとめ: 一身専属権だけが相続の対象外。賃借人の地位やお金の債権債務は相続される。
自作 / Q10

あなたはツバサ。10月、岡田さんのご主人が亡くなり、奥様が同居していた。契約者はご主人だけだった場合、賃借人の地位はどうなるか。

正解: 2. 奥様が当然に賃借人の地位を承継する

  • ① × 誤り。賃借人の死亡で契約は終了せず、相続人が地位を承継するので結び直しは不要。
  • ② ○ 正しい。民法896条により、相続人は被相続人の権利義務を相続開始時に当然に承継する。
  • ③ × 誤り。相続による承継は法律上当然に生じ、貸主の承諾は不要。
  • ④ × 誤り。保証会社は保証契約の当事者であり、賃借人の地位そのものとは無関係。
  • 条文: 民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」
  • 引っかけ: 賃借人の死亡を、契約そのものの終了と混同させる型。
  • まとめ: 賃借人が死亡しても契約は終わらず、相続人が当然に賃借人の地位を引き継ぐ。
過去問 / 過去問 令和3年度 問28 / Q7

Aを貸主、Bを借主とする賃貸住宅(以下、「甲建物」という。)の所有権がCに移転した場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実はないものとする。

正解: 4. Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けておらず、かつ賃貸借の登記も経由していない場合に、AC間で賃貸人の地位を移転することにつき合意しても、Bの承諾がなければ、賃貸人の地位はCに移転しない。

  • ① ○ 正しい。民法605条の2第1項、引渡しにより対抗要件を備えていれば、賃貸人たる地位はCに移転する。
  • ② ○ 正しい。同条2項、賃貸人の地位をAに留保し、CがAに賃貸する合意をすれば、Bの承諾なく地位はAに留保される。
  • ③ ○ 正しい。同条3項、所有権移転登記がなければ、Cは賃貸人たる地位の移転をBに対抗できず、Bは賃料の支払を拒める。
  • ④ × 誤り。民法605条の3は、対抗要件の有無にかかわらず、承諾を要しないで合意だけで地位を移転できるとしている。
  • 条文: 民法605条の2第1項「…賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する」
  • 条文: 民法605条の2第2項「…賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない」
  • 条文: 民法605条の2第3項「…賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」
  • 条文: 民法605条の3「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる」
  • ※ 605条の2は対抗要件を備えた賃借人がいる場合の当然移転、605条の3は合意による移転で、いずれも賃借人の承諾は不要。
  • 引っかけ: 賃借人が対抗要件を持たない場合は承諾が必要、と誤認させる型。
  • まとめ: 賃貸人の地位の移転は、当然移転でも合意移転でも、賃借人の承諾を要しない。
過去問 / 過去問 令和7年度 問40 / Q9

賃貸住宅の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解: 2. 賃貸住宅の所有権者として登記されていた者が、実際はその所有権を有していなかった場合でも、登記を信頼してその者から当該賃貸住宅を購入した者は、その所有権を有効に取得する。

  • ① ○ 正しい。借地借家法31条、引渡しを受けていれば、登記がなくても購入者に賃借権を対抗できる。
  • ② × 誤り。日本の不動産登記には公信力がなく、登記を信頼しただけでは有効に所有権を取得できない(判例・登記実務上の理解、条文の明文なし)。
  • ③ ○ 正しい。登記されている者は所有権者と推定されるという扱いが、判例上確立している(条文の明文ではない)。
  • ④ ○ 正しい。不動産登記法74条1項1号、表題部所有者の相続人その他の一般承継人は、保存登記を申請できる。
  • 条文: 借地借家法31条「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる」
  • 条文: 不動産登記法74条1項「所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人」
  • ※②③の「公信力がない」「推定力がある」は、いずれも判例・登記実務上確立した理解で、条文に直接の明文はない(sources.md参照)。
  • 引っかけ: 動産の即時取得(192条)の考え方を、不動産の登記にもそのまま当てはめさせる型。
  • まとめ: 不動産登記には公信力がないが、推定力はある。相続人は未登記の相続財産の保存登記を申請できる。
自作 / Q35

あなたはツバサ。井上さんが亡くなり、相続財産であるメゾン井上の所有権がまだ登記されていなかった場合、誰が所有権の保存登記を申請できるか。

正解: 1. 表題部所有者の相続人

  • ① ○ 正しい。不動産登記法74条1項1号により、表題部所有者の相続人その他の一般承継人が保存登記を申請できる。
  • ② × 誤り。管理会社は所有者でも相続人でもなく、申請権者にはならない。
  • ③ × 誤り。入居者は所有権に関係せず、申請権者ではない。
  • ④ × 誤り。保証会社は無関係。
  • 条文: 不動産登記法74条1項「所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人」
  • 引っかけ: 実際に管理している管理会社が申請できると誤認させる型。
  • まとめ: 未登記の相続財産の保存登記は、表題部所有者の相続人が申請できる。
自作 / Q45

あなたはツバサ。メゾン井上の登記事項証明書で、抵当権の有無を確認したい。どこを見ればよいか。

正解: 3. 権利部の乙区

  • ① × 誤り。表題部には所在・構造等の物件情報が記録される。
  • ② × 誤り。甲区には所有権に関する登記事項が記録される。
  • ③ ○ 正しい。乙区には所有権以外の権利(抵当権・賃借権等)が記録される。
  • ④ × 誤り。地図は登記事項証明書とは別の資料。
  • 条文: 不動産登記規則4条4項「権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする」
  • 引っかけ: 所有権(甲区)と、それ以外の権利(乙区)の区分を混同させる型。
  • まとめ: 表題部は物件情報、甲区は所有権、乙区は抵当権等それ以外の権利。
自作 / Q43

あなたはツバサ。法定更新で期間の定めがなくなった契約で、借主から解約を申し入れる場合、何か月前の通知が必要か。

正解: 2. 3か月前

  • ① × 誤り。1か月は建物賃貸借の解約予告期間ではない。
  • ② ○ 正しい。民法617条1項2号により、借主からの解約は3か月前の通知で足りる。
  • ③ × 誤り。6か月前は貸主からの解約(借地借家法27条)の期間。
  • ④ × 誤り。1年前は法定更新を止める通知の期間(26条)であり、解約とは別。
  • 条文: 民法617条1項2号「建物の賃貸借は…解約の申入れの日から三箇月を経過することによって終了する」
  • 引っかけ: 貸主からの解約期間(6か月)と借主からの解約期間(3か月)を取り違えさせる型。
  • まとめ: 法定更新後の解約は、貸主から6か月前、借主から3か月前(特約が無ければ)。
自作 / Q12

あなたはツバサ。もし岡田さんが婚姻届を出しておらず、ご主人に相続人が誰もいなかったら、同居していた岡田さんの立場はどうなるか。

正解: 2. 岡田さんが反対の意思を示さない限り、賃借人の権利義務を承継する

  • ① × 誤り。相続人がいなくても、内縁の同居者がいれば借地借家法36条により賃借権は承継される。
  • ② ○ 正しい。借地借家法36条1項により、同居者は反対の意思表示をしない限り権利義務を承継する。
  • ③ × 誤り。承継は法律上当然に生じ、新たな契約の締結は不要。
  • ④ × 誤り。退去義務は生じず、そのまま住み続けられる。
  • 条文: 借地借家法36条1項「居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において…事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」
  • 引っかけ: 相続人がいない場合に、賃借権が当然に消滅すると誤認させる型。
  • まとめ: 相続人がいない場合でも、内縁の同居者がいれば36条で権利義務を承継できる。
自作 / Q40

あなたはツバサ。もし井上さんが亡くなり、複数の相続人がメゾン井上を相続した場合、賃貸人の地位と敷金の返還債務はどうなるか。

正解: 1. 相続人全員が承継する

  • ① ○ 正しい。賃貸人の地位も敷金の返還債務も、相続人が承継する。
  • ② × 誤り。国庫への帰属は相続人がいない場合の話で、通常の相続とは異なる。
  • ③ × 誤り。貸主が死亡しても、入居者との契約は当然には終了しない。
  • ④ × 誤り。保証会社は無関係。
  • 条文: 民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」
  • ※ 民法896条により、賃貸人の地位も敷金返還債務も、通常の相続財産として相続人に承継される。
  • 引っかけ: 貸主の死亡を、契約や敷金がリセットされる出来事と誤認させる型。
  • まとめ: 貸主が死亡しても、賃貸人の地位・敷金の返還債務は相続人が承継する。
自作 / Q14

あなたはツバサ。岡田さんのご主人が預けていた敷金は、ご主人の死亡後、どうなるか。

正解: 2. 相続財産として、奥様に承継される

  • ① × 誤り。精算・預け直しは不要で、そのまま承継される。
  • ② ○ 正しい。敷金返還請求権も相続財産の一部として、相続人である奥様に承継される。
  • ③ × 誤り。敷金は賃借人側の権利であり、大家に帰属して消滅するものではない。
  • ④ × 誤り。敷金は保証会社ではなく、賃貸人が預かっているお金である。
  • 条文: 民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」
  • 引っかけ: 契約者の変更を、敷金の精算・預け直しが必要な状況と混同させる型。
  • まとめ: 敷金に関する権利義務も、相続によってそのまま承継される。
自作 / Q42

あなたはツバサ。吉田さんとの更新料68,000円の特約について、正しい説明はどれか。

正解: 2. 高額すぎる等の事情が無い限り、特約として有効である

  • ① × 誤り。更新料は法律上の制度ではなく、契約書の特約による。
  • ② ○ 正しい。最高裁 平成23年7月15日判決、高額すぎる等の特段の事情が無い限り、消費者契約法10条に反せず有効。
  • ③ × 誤り。特約自体は原則有効とされている。
  • ④ × 誤り。消費税の扱いは特約の有効性とは無関係。
  • 条文: 消費者契約法10条「…消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」
  • 引っかけ: 更新料を法定制度と誤認させたり、常に無効と決めつけさせる型。
  • まとめ: 更新料は特約。高額すぎる等の事情が無い限り有効(最高裁平成23年7月15日)。
自作 / Q37

あなたはツバサ。登記簿上の所有者として記載されている人から、それを信じてメゾン井上のような建物を買った場合、その人が実は真の所有者でなかったら、購入者は所有権を取得できるか。

正解: 2. 当然には取得できない(登記に公信力はない)

  • ① × 誤り。日本の不動産登記には公信力がなく、登記を信頼しただけでは有効に取得できない。
  • ② ○ 正しい。登記に公信力がないため、真の所有者でない者からの購入では、所有権を取得できない(判例・実務上の理解)。
  • ③ × 誤り。半分だけ取得するという扱いはない。
  • ④ × 誤り。行政が保証する制度ではない。
  • 条文: 民法192条(参考対比・動産の即時取得)「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」
  • ※ 動産の即時取得(民法192条)とは異なり、不動産登記に公信力を認める明文規定はない(判例・登記実務上確立した理解)。
  • 引っかけ: 動産の即時取得(民法192条)の考え方を、不動産の登記にもそのまま当てはめる型。
  • まとめ: 不動産の登記には公信力がなく、登記を信じただけでは所有権を取得できない。
自作 / Q39

あなたはツバサ。複数の相続人が賃借人の地位を承継している場合、貸主から解約や更新拒絶を通知する時、誰に対して行う必要があるか。

正解: 2. 相続人全員

  • ① × 誤り。代表者1人への通知だけでは足りない。
  • ② ○ 正しい。解除・解約に類する通知は、当事者が複数なら全員に対して行う必要があるとされる。
  • ③ × 誤り。家庭裁判所への通知という制度ではない。
  • ④ × 誤り。保証会社は通知の相手方ではない。
  • 条文: 民法544条1項(準用・参考)「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる」
  • 引っかけ: 複数の相続人がいても、代表者1人への通知で足りると誤認させる型。
  • まとめ: 相続人が複数いる場合、解約・更新拒絶の通知は相続人全員に対して行う。
自作 / Q41

あなたはツバサ。井上さんが亡くなり、相続人が複数いる場合、今後発生する家賃債権はどのように扱われるか。

正解: 2. 相続分に応じた分割債権になる

  • ① × 誤り。相続分に応じて分割され、当然に発生する。
  • ② ○ 正しい。家賃債権は可分債権として、各相続人の相続分に応じた分割債権になる。
  • ③ × 誤り。長男がすべて受け取るという規定はない。
  • ④ × 誤り。入居者が保管するものではない。
  • 条文: 民法899条「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」
  • 引っかけ: 遺産分割が終わるまで何もできないと誤認させる型(手順3の可分債権と対の論点)。
  • まとめ: 貸主死亡後の家賃債権も、相続分に応じた分割債権として扱われる。
自作 / Q36

あなたはツバサ。入居者が、井上さんの同意を得て、賃借権を別の人に譲渡した。この場合、敷金に関する権利義務は、新しい賃借人にそのまま引き継がれるか。

正解: 2. 当然には引き継がれない

  • ① × 誤り。賃貸人が変わる場合(605条の2)とは異なり、賃借人が変わる場合の敷金は当然には引き継がれない。
  • ② ○ 正しい。賃借権の譲渡に伴う敷金は、特段の事情がない限り、新しい賃借人に承継されないと解されている(判例)。
  • ③ × 誤り。半額返還という扱いは定められていない。
  • ④ × 誤り。保証会社が判断する事項ではない。
  • 条文: 民法605条の2第4項(参考対比)「…賃貸人たる地位が譲受人…に移転したときは…敷金の返還に係る債務は、譲受人…が承継する」
  • ※ 貸主変更時の敷金は買主が承継する(605条の2第4項)が、借主変更時は当然には承継されない(判例)。
  • 引っかけ: 貸主変更時の敷金承継のルールを、借主変更のケースにもそのまま当てはめる型。
  • まとめ: 敷金の承継は、貸主が変わる時と借主が変わる時とで扱いが違う。
公式過去問 / 借地借家法 / 令和3年度 問24

Aを貸主、Bを借主とする建物賃貸借契約においてBが死亡した場合に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実及び特約はないものとする。

正解: 3. Aが地方公共団体の場合で、賃貸住宅が公営住宅(公営住宅法第2条第2号)であるときに、Bが死亡しても、その相続人は当然に使用権を相続によって承継することにはならない。

公式過去問 / 賃貸借契約(民法) / 令和3年度 問28

Aを貸主、Bを借主とする賃貸住宅(以下、「甲建物」という。)の所有権がCに移転した場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実はないものとする。

正解: 4. Aが甲建物を譲渡する前にBがAから引渡しを受けておらず、かつ賃貸借の登記も経由していない場合に、AC間で賃貸人の地位を移転することにつき合意しても、Bの承諾がなければ、賃貸人の地位はCに移転しない。

公式過去問 / 借地借家法 / 令和4年度 問25

Aは賃貸住宅(以下、「甲住宅」という。)を所有し、各部屋を賃貸に供しているところ、令和2年、X銀行から融資を受けてこの建物を全面的にリフォームした。甲住宅には融資の担保のためX銀行の抵当権が設定された。Bは抵当権の設定登記前から甲住宅の一室を賃借して居住しており、CとDは抵当権の設定登記後に賃借して居住している。この事案に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。なお、各記述は独立しており、相互に関係しないものとする。ア 賃借権の対抗要件は、賃借権の登記のみである。イ Bが死亡し相続が開始した場合、相続の開始が抵当権の設定登記より後であるときは、相続人はX銀行の同意を得なければ、賃借権を同銀行に対抗することができない。ウ AがX銀行に弁済することができず、同銀行が甲住宅の競売を申し立てた場合、Cの賃借権は差押えに優先するため、賃借権をX銀行に対抗することができる。エ AがX銀行に弁済することができず、同銀行が甲住宅の競売を申し立てEがこれを買い受けた場合、Eは、競売開始決定前に甲住宅の部屋を賃借し使用収益を開始したDに対し敷金返還義務を負わない。

正解: 3. 3つ

公式過去問 / 借地借家法 / 令和5年度 問26

AがBに対して賃貸住宅(以下、「甲住宅」という。)を賃貸し、Bが居住している場合に関する以下の記述のうち、正しいものはいくつあるか。ア Aが甲住宅をCに売却しようとする場合、Bの承諾がなくとも売却することはできる。イ Aが甲住宅をCに売却しようとする場合、Aは、Bの承諾がなければ、AC間の合意で賃貸人の地位を移転させることはできない。ウ Aが融資を受けて甲住宅を建築し、同建物及び敷地に、借入金を被担保債権とする抵当権が設定され、登記されている場合において、抵当権が実行され、Cが甲住宅を買受けた場合、抵当権設定登記後に甲住宅に入居したBはCの買受時から3か月以内に甲住宅を明渡す必要がある。エ BがAの同意を得て、賃借権をDに譲渡した場合、敷金に関するBの権利義務関係はDに承継される。

正解: 1. 1つ

公式過去問 / 借地借家法 / 令和6年度 問21

定期建物賃貸借契約でない賃貸住宅の賃貸借契約の契約期間と更新に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。ア 賃貸借契約の契約期間は、50 年を超えることができない。イ 賃貸借契約では、契約期間を定めることが賃貸借契約の成立要件である。ウ 賃貸借契約において、賃貸人が契約の更新を拒絶する旨を通知したが、賃借人が期間満了後も賃貸住宅を使用し続け、賃貸人がこれに異議を述べない場合、賃貸借契約は更新されたものとみなされる。エ 賃貸借契約において、賃貸人が契約期間満了を原因として契約を終了させる更新拒絶の通知には正当事由の具備が必要となるところ、財産上の給付(いわゆる立退料)は正当事由の補完要素として考慮されるに過ぎない。

正解: 4. ウ、エ

公式過去問 / 借地借家法 / 令和7年度 問5

賃貸借契約の終了に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

正解: 1. 賃貸人が期間の定めのある建物賃貸借契約を期間の満了をもって更新せず終了させる場合、更新拒絶には正当事由の具備が必要となるところ、正当事由は具備されてから6か月間持続しなければならない。

公式過去問 / 賃貸借契約(民法) / 令和7年度 問7

賃貸借契約の当事者の死亡に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解: 2. 賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に発生した敷金返還債務は不可分債務となり、各相続人がそれぞれ賃借人に対して全額の返還債務を負担する。

公式過去問 / 登記・不動産の基礎 / 令和7年度 問27

相隣関係に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。ア 土地の所有者は、境界付近における建物の修繕のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。イ 土地の所有者は、他の土地に設備を設置しなければガスの供給を受けることができないときは、ガスの供給を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置することができる。ウ 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、急迫の事情がある場合であっても、竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときでなければ、土地所有者は、自ら越境した枝を切除することができない。エ 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、竹木の所有者に根を切除するよう催告し、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときでなければ、土地所有者は、自ら越境した根を切除することができない。

正解: 1. ア、イ

公式過去問 / 登記・不動産の基礎 / 令和7年度 問40

賃貸住宅の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

正解: 2. 賃貸住宅の所有権者として登記されていた者が、実際はその所有権を有していなかった場合でも、登記を信頼してその者から当該賃貸住宅を購入した者は、その所有権を有効に取得する。